名匠ロマン・ポランスキーによる時代を超えた文芸ロマンの名作『テス』の4Kリマスター版が公開決定。本作のポスタービジュアル2種を紹介する。
・「いまも冤罪が起こる要素は揃っている」ロマン・ポランスキー監督インタビュー
時代を超えた愛の名作ドラマが4Kリマスター版でスクリーンに甦る
19世紀末の英国ドーセット地方マーロット村。貧しいダービフィールド家に美しい娘テスがいた。一家の生活を助けるため、遠戚のダーバヴィル家に奉公に出たテス。この家の放蕩息子アレックに早速目をかけられたテスは、ある日森の中でアレックに強引に犯されてしまう。傷心したテスは実家へ戻ったが、アレックの子を身籠っていた。
出産したものの赤子はすぐに病死してしまい、村の人々の冷たい視線に耐えられなくなったテスは再び家を出て、遠く離れた酪農場で働き始める。そこでテスは進歩的で心優しい青年エンジェルと出会い、互いに激しい恋に落ちる。ついにエンジェルのプロポーズを受け入れたテス。
初めて掴んだ幸せの中で、テスはエンジェルの許しを乞うために自分の過去の過ちを包み隠さず打ち明けた。だが、その内容にショックを受けたエンジェルは茫然自失となり、彼女を置いて去ってしまう。最愛の人に拒絶され、ひとり残されたテスの流転の人生がここから始まるのだった…。
原作は英国の文豪トマス・ハーディが1891年に発表した小説「ダーバヴィル家のテス」。本作はロマン・ポランスキー監督元夫人の故シャロン・テートが生前『テス』の原作を気に入り、ポランスキーに映画化を薦めていたことがきっかけで製作された。撮影途中での名カメラマン、ジェフリー・アンスワースの死去という最大の不幸を乗り越え、アカデミー賞撮影賞をはじめ数多くの賞に輝いた。
またポランスキーにとって、シャロンの分身的存在であり、当時の交際相手でもあったのが、本作のヒロインに抜擢されたドイツ出身の新進女優ナスターシャ・キンスキー。まだ18歳という若さで演技経験も浅かったナスターシャは、本作で気丈な女性テスを見事に演じ切り、国際女優への切符を手に入れた。172分という超大作にもかかわらず、テスと完全に同化したナスターシャの毅然とした美しさから目が離せない。
公開されている2種の日本版ポスタービジュアルは、それぞれ雰囲気の異なる表情をしたナスターシャ・キンスキー演じるテスが写し出されている。ひとつはキャッチコピーの「彼女の愛に敵う者は、いない」が物語るように、テスの妖艶な一面の中に、女性としての力強い眼差しを見せた表情がとても印象的だ。
もう1種は、「決して後悔は、しない」というキャッチコピーからも、赤ん坊を胸に抱き、母親として、またひとりの人間として確固たる意志を貫こうとする姿が伺える。それぞれに共通するのは彼女の強い決意。そして、彼女が見つめる先には何があるのか? 貧しい家に生まれ育ち、時代に翻弄され、美しさゆえの不幸。テスが辿る波乱の人生、そして「愛」とは。この切ない物語は果たしてどのような結末が待っているのか、展開が気になる内容だ。
『テス』(4Kリマスター版)は2023年1月6日より、ヒューマントラストシネマ有楽町にて特別先行公開、1月20日全国順次公開される。
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