『ゆれる』『ディア・ドクター』『夢売るふたり』の西川美和監督が、直木賞候補となった自らの書き下ろし小説を映画化する『永い言い訳』。昨年3月30日にクランクインし、季節をまたいで長期間の撮影を行ってきた本作が、同年12月27日についにクランクアップし、主演の本木雅弘と西川監督からのコメントが到着した。
・本木雅弘が『永い言い訳』で、『おくりびと』以来となる映画主演!
本作は、長年連れ添った妻・夏子を突然のバス事故で失った、人気作家の津村啓こと衣笠幸夫(本木雅弘)が、ある日、同じ事故で亡くなった夏子の親友の遺族で、幼い兄妹とトラック運転手の父親に出会い、ふとした思いつきから、兄妹の世話をするようになるというストーリー。予期せず家族を失った者たちは、どのように人生を取り戻すのかがテーマになっている。
都内のカフェで行われた最後の撮影シーンは、物語上、重要なラストシーンで、本木をはじめ、竹原ピストル、子役の藤田健心・白鳥玉季のメインキャストが集結。この日は偶然にも竹原の誕生日で、和やかな祝福ムードに包まれつつも、緊張感があふれる現場となった。
ラストカットで監督の「OK」の声がかかった後、スタッフ・キャストは、準備期間を含め約1年に渡った撮影の苦労をねぎらいあいながら、この1年で大きく成長した子どもたちの様子にも目を細めていた。
本作について「季節をまたいでの撮影で、間があく時もありましたが、頭に心に監督のこと、役のこと、物語のことをいつも抱えていた1年でした」と振り返る本木は、「その時間が何かを熟成させ共通言語を生んで、より全体が一丸となっていくような撮影でした。夏編が終ったあとに監督から、『最後の冬編では、毒が抜け、新たに建て直す場所に立つ、更地の少年のような幸夫を見せてほしい』と言われまして、8キロほど痩せました。同時に気持ちもどこか軽く自由になって、ようやく幸夫と同化できたような気になりました」とコメント。
西川監督も「本当に長きに渡った撮影でした。こんな経験は私も初めてだったのですが、ずっと長い時間をかけて丁寧に撮影することで、子どもたちもどんどん大きくなっていくし、キャストやスタッフの変化を受けて撮影していくことが当たり前になった気がします。今はなかなかここで終わる感覚がなく、この作品がずっと続いて行って、子どもたちの成長や本木さんの変化やこの物語の続きを自分が撮っていくのではと錯覚するほどですが、終止符があるから映画はいいものになるのだと思っています」と述べている。
『永い言い訳』は2016年秋に全国公開となる。
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