(…前編より続く)
○【4位予想】『シーズンズ 2万年の地球旅行』
ネイチャードキュメンタリー映画『オーシャンズ』のジャック・ペラン監督が、生命の歩みに迫った最新作。特殊なカメラを使った迫力ある映像は息をのむほどに素晴らしい。日本語ナレーションを女優の木村文乃と落語家の笑福亭鶴瓶がつとめる。
『オーシャンズ』(10年/ギャガ)はオープニング3日間で動員32万人を記録。同配給の海洋ドキュメンタリー『アース』(07年)も、初週土日動員で28万人という高い数字を出した。
上映館数は約320館とそろった。昨年12月23日には、日本語版の完成披露試写会が行われ笑福亭鶴瓶と木村文乃がサンタの格好で登場。当日は鶴瓶の64歳の誕生日ということでサプライズでパースデーケーキが贈られ「嬉しい」と破顔する鶴瓶が大きく報道された。こちらも『パディントン』同様、ファミリーで楽しむことができる作品。10万人という数字は期待したい。
・【週末シネマリサーチ】前編/大穴!? 北川景子入籍特需で『の・ようなもの のようなもの』はどこまで伸びる?
▲【6位予想】『白鯨との闘い』
『ダ・ヴィンチ・コード』(06年/ソニー・ピクチャーズ)や『天使と悪魔』(09年/ソニー・ピクチャーズ)のロン・ハワード監督が、ノンフィクション小説「復讐する海 捕鯨船エセックス号の悲劇」をもとに、捕鯨船エセックス号の乗組員たちが巻き込まれた白鯨とのバトルを迫真の映像で描いた物語。主演はクリス・ヘムズワース。
全米ではオープニング興収約1100万ドルという数字。4週目だった『ハンガー・ゲーム FINAL:レボリューション』からトップの座を奪うことができなかったため、アメリカではあまり好印象を与えることができなかった。『ダ・ヴィンチ・コード』や『天使と悪魔』の大ヒットがあるロン・ハワード監督だが、近年の監督作品ではそれほど特筆すべき数字は残していない。
本作は約330館で上映。ロン・ハワード&クリス・ヘムズワースのタッグは『ラッシュ プライドと友情』(14年/ギャガ)が全国629スクリーンで公開され、初週土日動員で6万5000人。このあたりの数字が目安になりそうか。
△【10位予想】『の・ようなもの のようなもの』
2011年に他界した森田芳光監督の長編デビュー作『の・ようなもの』(81年)を、森田組で長年助監督を務めてきた杉山泰一で映画化。『の・ようなもの』の登場人物がそのまま本作にも出演し、30年後の姿を描く。主演は松山ケンイチ、ヒロインに北川景子のほか、森田監督ゆかりの俳優たちが贅沢に出演している。
松山は、森田監督の遺作となった『僕達急行 A列車で行こう』(12年/東映)で主演をつとめたが、こちらは全国204スクリーンで公開され、初週土日動員4万8000人という結果だった。
本作は劇場公開数が約50館と小規模公開だが、ヒロインをつとめた北川が1月11日にミュージシャンのDAIGOと入籍し、時の人に。1月16日には、都内で初日舞台挨拶も予定されており、北川も登壇予定。多くのマスコミが詰めかけることが予想され、大きな宣伝効果をあげそうだ。
【注目シネマ】
※『殺されたミンジュ』
“鬼才”という言葉がぴったりなほど、衝撃的な作品を次々と世に送り出しているキム・ギドク監督の最新作。少女殺人事件に関わった容疑者たちが、謎の武装集団に誘拐され、自白を強要されるさまを描く。
公開時は4館程度とランキングに入ってくるような動員数は期待できないが、キム監督のファンは多く、確実に高いスクリーンアベレージを叩きだすだろう。万人受けする作品ではないが、人間の心をえぐるような描写に惹かれる人は多いだろう。
(文:磯部正和/映画ライター)
磯部正和(いそべ・まさかず)
雑誌の編集、スポーツ紙を経て映画ライターに。基本的に洋画が好きだが、仕事の関係で、近年は邦画を中心に鑑賞。本当は音楽が一番好き。不世出のギタリスト、ランディ・ローズとの出会いがこの仕事に就いたきっかけ。
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