【ついついママ目線】前編/良き妻と良き母は共存できない!? 『クーパー家の晩餐会』を見て家族の視点について考えた
“母”になると“妻”ではいられなくなるもの
子どもにとってどんな親であるべきか、客観的に自分はどんな親に見えているのか、と考えることがある。自分の人間性そのものとしても、夫との関係を通しての“夫婦像”としても。逆に言うと、子どもにどんな親の姿を見せるべきじゃないだろう? 子どもはどんな親を見たくないだろう?
豪華で絶妙なキャスティングで見せる『クーパー家の晩餐会』は4世代にわたるクーパー家の人々がクリスマスイブのディナーに集う様子を描いたホームコメディ。群像劇風にそれぞれのドラマが綴られていき、みんながみんな各々にちくちくズキズキと胸が痛く、なのに家族に打ち明けるのは躊躇してしまう問題を抱えているのが判明していく。
デカいクリスマスツリーも邪魔にならないぐらい広く暖かなリビング、ダイニングテーブルにところ狭しと並べられた色とりどりの家庭的なクリスマス料理、そしてアメリカのホームドラマのお約束である大型犬……。鼻につくかと思ったが、『I am Sam アイ・アム・サム』のジェシー・ネルソン監督は音楽や粋な笑いの使い方がうまく、嫌味にしない。もともと、アメリカ的な家族愛を見せ付けられるのは意外と嫌いじゃないというのもある。
4世代にわたる11人の大家族のなかで、個人的に目線が重なるのはダイアン・キートン演じる母親のシャーロットだ。彼女が抱える秘密の問題は、ジョン・グッドマン演じる夫のサムと離婚を決めたこと。きっかけはサムの定年記念のアフリカ旅行をシャーロットが却下したことだけど、かねてから夫婦間に徐々に距離ができていた。シャーロットは幼くして娘をひとり亡くしたこともあり、子どもに神経を使うようになって子ども中心となり、夫をなおざりにしていたのだ。サムは長年このことに不満を募らせていた、「きみは良き“母”だが、“妻”としてはどうなのだ?」と。
女性から言わせてもらうと、この夫の不満自体、なぜそんな不満を持つのかとイラッとしてしまう。乱暴な言い方をすると、女性は親になると本能的に“母”となり、“妻”というオンナではいられなくなる生き物だと思う。だから夫にも同じように“父親”となって子ども中心となってもらって構わない、というかぜひそうして欲しい。それなのに、子どもが生まれてもオトコのままで「ぼくにもかまってよ! 子どもとぼくとどっちが大事なの!?」という態度をされると、「なんで子どもと同レベルで張り合うの? 親のレベルに上って来いよ!」とイラッとするのである。まあ、こっちも勝手に妻という立場を放棄してしまっているのではあるが。(後編へ続く…)(文:入江奈々/ライター)
『クーパー家の晩餐会』は全国公開中。
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