キャスティングに違和感あり!
(…前編より続く)競技かるた部を題材にした、和物の文化部系コミックの代表格「ちはやふる」が豪華キャストで映画化。原作コミックで華麗で迫力たっぷりに描かれる対戦シーンは、ハイスピード撮影を交えながら指先まで捉えて再現され、クールでダイナミック。
ただ、アクションは良いのだが、競技かるたはもちろん頭脳戦でもある。札の配置を暗記して取っていく暗記力も必要だが、それだけじゃない。相手の札を取ったときに自分の持ち札を相手に送るが、そのときにどの札を送るか駆け引きがなされる。ヒロインの千早はその名前から「千早ぶる 神代もきかず 龍田川 からくれなゐに 水くくるとは」が得意札だが、例えばその得意札をわざと送って、相手の得意札であっても取る自信があることを見せつけて精神的に揺さぶりをかけたりするのだ。相手の得意札が何であるか推察する能力も必要になってくる。映画版ではそこまでは描ききっていないために物足りなく感じることもある。
そして原作ファンとして違和感があるのは、元ネタ有り作品に付き物のキャスティング問題だ。第一に主人公の千早からして、広瀬すずはちょっと違う気がする。千早は姉がモデルで、その姉よりも身長高くてスタイルが良くてかわいいが、ガサツでかるたのことしか頭にない残念美人。制服のスカートの下にジャージを履いたり、寝ると白目をむくのがなんともガッカリな女子なのだ。
見た目イメージでは足立梨花や西内まりや、三吉彩花あたりが浮かぶ。広瀬すずはかわいいし確かに実際にモデルの妹ではあるが、スカートの下がジャージでも、白目で寝ても妙にハマってしまい、さもありなんといった感じがする。クール系美女がやってこそのギャップなのに、純真そうな広瀬すずだとガッカリ感が薄い。
そして、千早に想いを寄せる幼馴染でかるた部部長、女ウケするイケメンで成績優秀な太一は野村周平。幼馴染で千早の想い人である真面目でクールなメガネ男子の新(あらた)には真剣佑。いや、これ、逆で良くない? 新のメガネの奥の瞳がきゃるるんとしたキラキラ目だなんて。“まつげくん”と異名を持つ太一よりも新のほうがまつげバサバサだなんて。原作の新も実は涙もろいが、真剣佑がボロボロ泣くとどうしても女々しく見えてしまうし。
メイン3人がしっくりこないうえ、他の部員も肉まんくんはデブじゃないし、ガリ勉の机くんは無駄にイケメンだし、かなちゃんは……隠れ巨乳じゃないじゃないか! おまけに顧問の理系で体育会系のおばあちゃん先生は松田美由紀だし。みなそれぞれ好演しているし、些細なことと思われるかもしれないが、特にスポ根ものにおいてキャラ設定は大切だ。チームメイトだけでなくライバル校や相手もわかりやすいキャラで親しみを持たせて、試合展開にグイグイ引き込んでいくのだから。
その点、対戦相手は原作イメージに近い。ライバル校のヒョロくんはイメージに合っているし、キツネ目の須藤さんはタレ目の清水尋也が扮しているにも関わらず雰囲気は出ている。千早の永遠のライバル、かるたクイーンである詩暢ちゃんは松岡茉優が扮し、私服のセンスが悪くて冷徹な女子というキャラクターそのまんまで、京女らしい嫌味も痛快なほど演じきっている。さすが安定の松岡茉優! ちなみに千早と詩暢の共通の趣味である、ブサかわなキャラクター、ダディベアとスノー丸もやけにこだわりを見せて原作を再現。おっと、しかし、詩暢ちゃんは前編の本編には1秒も登場せず、エンドロールの後編の予告映像に2シーンのみ出ているだけだったぁ〜!!(後編へ続く…)
『ちはやふる -上の句-』は3月19日より、『ちはやふる -下の句-』は4月29日より公開される。
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