【ついついママ目線】前編/ヘルシー食生活で砂糖の摂りすぎに!? 煮物の砂糖も心配になる『あまくない砂糖の話』
あたなは大丈夫?
一見「健康的」な食生活に潜む大量の砂糖
子ども時代の食生活ほど、その子の人生に親の影響を及ぼすものってないかもしれない。食事はもちろん肉体に直結しているし、価値観を生み出したり人生の基盤となる部分を担っている。当然のことだけど、親の責任の大きさをひしひしと感じる。食材のとくに砂糖に注目したドキュメンタリー『あまくない砂糖の話』を見て、食生活って人生を左右するものだと再認識し、またまた親の役割の重さに思いを馳せてしまった。
本作は監督が自ら被験者となって実験過程を追ったドキュメンタリーだ。1ヵ月間マクドナルドだけを食べ続けるとどういう変化がもたらされるかという実験を行った『スーパーサイズ・ミー』では、筆者はわざと直前にマクドナルドを食べて鑑賞した。狙い通り、「う、いま、まさにお腹の中に同じハンバーガーが入っているぅ」と、リアルに身につまされて感じ取ることができた。
さて、今回の『あまくない砂糖の話』は砂糖版『スーパーサイズ・ミー』と謳われ、本国のオーストラリアで記録を残すほどヒットしたという。
監督・脚本兼主演のデイモン・ガモーが、どうやら毎日毎日砂糖を浴びるように食べ続けるようなので、ひとまずアイスクリームとチョコレートを食べて鑑賞に挑んだ。しかし、これは間違いだったと後になって気づき、もっと大きなダメージを受けることとなった。
オープニングではコカ・コーラやチョコレート、カラフルで甘そうなお菓子の映像が次々に映し出される。やはりそうきたか、と思っていたが予想はすぐに裏切られた。主人公のガモーが実験で食べ続けるのは色とりどりのスイーツではなく、普通の食材。しかも、浴びるように食べるわけではなく、オーストラリア人の平均である、1日にティースプーンで40杯分、約160gの砂糖を摂るのだ。
例えば、朝食ならシリアルに低脂肪ヨーグルトにフルーツジュースといった具合で、男性だから分量が多めとはいえ、なんと、これだけで目標の半分である20杯分の砂糖は摂れてしまうという! アイスクリームやチョコレートはむしろ食べるのを避けるという実験のルールを作っているぐらいで、とくに甘そうなお菓子でなくても簡単に糖分は摂れてしまうのだ。
ちょっと待て、アイスクリームやチョコレートをわざと食べなくても、シリアルなら普通に朝食として家族で食べているではないか! それも砂糖やチョコをまぶしてあるわけじゃなく、ドライフルーツで甘みはあるけど、不健康そうではないものを。でも、ガモーはこの“一見ヘルシー”なものこそ、大量の糖分が潜んでいて落とし穴だという。実は、“うま味”の少ない物足りなさを甘みでカバーしているのだ。(文:入江奈々/ライター)
『あまくない砂糖の話』は3月19日より全国順次公開中。
入江奈々(いりえ・なな)
1968年5月12日生まれ。兵庫県神戸市出身。都内録音スタジオの映像制作部にて演出助手を経験したのち、出版業界に転身。レンタルビデオ業界誌編集部を経て、フリーランスのライター兼編集者に。さまざまな雑誌や書籍、Webサイトに携わり、映画をメインに幅広い分野で活躍中。
『あまくない砂糖の話』は3月19日より全国順次公開中。
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