【ついついママ目線】後編/ヘルシー食生活で砂糖の摂りすぎに!? 煮物の砂糖も心配になる『あまくない砂糖の話』
親の責任は重大
子どもの人生は食生活で決まる!…かも
1日にティースプーンで40杯分の砂糖を摂る実験を追ったドキュメンタリー『あまくない砂糖の話』は、黒や青色のグミを食べるような食文化の異なる欧米の話だと思っていた。その実験も、『スーパーサイズ・ミー』で出てきた「1ヵ月間マクドナルドを1日3食食べる」ように極端な実験で、糖分控えめでヘルシーを心がけている自分とはあまり関係がないのではないかと思って高をくくっていた。でも、本作は我が家と無関係ではなく、極端な食生活でもない食生活を追っていて、非常に身近で身につまされる内容だった。
本作で監督・脚本兼主演のデイモン・ガモーが砂糖を摂取するのはジャンクフードからではなく、「普通の食事」。インパクトを持たせるためにテリヤキソースの代わりにチキンに砂糖をかけて食べて見せたりするが、そんなことしなくても一般的な食事でも砂糖の摂り過ぎが起こりうるのだ。
さらに、本作はCGを用いて糖類のなかでも果糖がクセものであることを見せ、糖類の摂取による虫歯や利益ばかり優先する企業を追及していく。
ただ、個人的に印象が強かったのは、やはり一般的な食事に砂糖が溢れていることで、しかもガモーは、実験前と摂取カロリーは変わらないにも関わらず、砂糖の比重が増えたために肉体的にも太り、心身共に不健康になっていく。この実験結果がすべてに当てはまるものではないかもしれないが、見過ごせるものでもない。
食事は生活そのもので、生活習慣病には食事が原因で発症する病気が多いほどだ。その生活習慣はいくら周りがとやかく言っても仕方ないぐらい家庭で培われたもので、子ども時代に形成された習慣はなかなか覆らないものだろう。
関西出身の筆者は煮物は甘めが好きだ。あまり入れすぎないようにしようとは思っているけど、ついつい煮物は甘辛味にしてしまう。でも、この数杯の砂糖が子どもの人生を大きく変えるのかもしれない。子どもに与える親の影響と責任は大きいが、こと食生活に関しては特に大きく、人生に深く関わるものだとつくづく考えさせられてしまった。(文:入江奈々/ライター)
『あまくない砂糖の話』は3月19日より全国順次公開中。
入江奈々(いりえ・なな)
1968年5月12日生まれ。兵庫県神戸市出身。都内録音スタジオの映像制作部にて演出助手を経験したのち、出版業界に転身。レンタルビデオ業界誌編集部を経て、フリーランスのライター兼編集者に。さまざまな雑誌や書籍、Webサイトに携わり、映画をメインに幅広い分野で活躍中。
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