3月公開作の1位は『映画 ドラえもん新・のび太の日本誕生』。本作はシリーズ歴代1位の観客動員数を誇る『のび太の日本誕生』(1989年)を新たに描いたもの。7万年前の日本を舞台に、家出を決心しタイムマシンで原始時代にやってきたのび太たちが、原始人とその家族を救うために立ち上がる。
完成披露試写会では、ゲスト声優を務めたプロレスラーの棚橋弘至、真壁刀義、お笑い芸人の小島よしおが応援団「ウンタカ!ドラドラ団」として原始人スタイルで登場し、「ウンタカダンス」を生披露。また山崎まさよしが主題歌を担当するなどの話題性がPRにつながった。例年通りの大ヒットで、公開後23日間で興収25.5億円。前作(最終興収39.3億円)とほぼ同じペースで興収を伸ばしている。
2位はピクサーアニメーション『アーロと少年』。「もし巨大隕石の墜落による恐竜絶滅が起こらなかったら」という設定で、恐竜が地上で唯一言葉を話す種族として存在している世界が舞台。弱虫の恐竜アーロが、孤独な人間の少年スポットとの冒険を通して成長していく姿を描いている。恐竜のママを安田成美、アーロが冒険の途中で出会う強面のTレックス一家の吹き替えを松重豊、八嶋智人、片桐はいりが担当した。ピーター・ソーン監督とプロデューサーのデニス・リームが来日した会見には4人が登場し、メディア露出に一役買った。
3位は『家族はつらいよ』。山田洋次監督が熟年夫婦の離婚騒動をめぐる家族の物語を描いた喜劇映画だ。山田監督としては『男はつらいよ』シリーズ以来、約20年ぶりの喜劇ということで年配層を中心に集客している。
同じく3位は『エヴェレスト 神々の山嶺』。夢枕獏の原作小説を映画化。野心あふれる山岳カメラマン(岡田准一)が失踪中の天才アルピニスト(阿部寛)とカトマンズで偶然出会ったことから、彼のエヴェレスト登頂に同行する物語だ。岡田と阿部、そして共演者の尾野真知子が中心となり数多くのテレビ番組に出演してPRにつとめた。
なお、3月25日から公開された『暗殺教室 卒業』は公開後 3日間で興収8.6億円をあげた。発行部数が1350万部を超える人気マンガの実写映画化。中学校にタコ型の謎の生物が担任として現れ、「自分を殺せなければ地球を破壊する」と宣言する。昨年3月に公開され、興収27.7億円の大ヒットを記録。その翌年すぐに続編となる完結編を公開するスピード上映でファンを引き付けたようだ。また公開直前の3月18日には製作元のフジテレビで前作が放送されたこともヒットを後押しした。(文:相良智弘/フリーライター)
[3月公開作ランキング]
1位『ドラえもん 新・のび太の日本誕生』25.5億円
2位『アーロと少年』10億円
3位『家族はつらいよ』9億円
3位『エヴェレスト 神々の山嶺』9億円
(3月27日時点。ムビコレ調べ)
相良智弘(さがら・ともひろ)
日経BP社、カルチュア・コンビニエンス・クラブを経て、1997年の創刊時より「日経エンタテインメント!」の映画担当に。2010年からフリー。
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