【ついついママ目線】2/衝撃的な母子の姿に普遍的な命題を見た『ルーム』
幼稚園まで? 小学校まで?
母はいつまで子のそばにいるべき?
(「1」より続く…)外界から隔離されたある“部屋”で暮らす母・ジョイと5歳の息子・ジャックにスポットを当てて描いた『ルーム』。センセーショナルなだけでなくドラマティックな展開のなかに、普遍的な母子間の命題も感じさせてくれた。
母親が子どものそばにいたほうが本当にその子のためになるのか。いったい子どもがいくつなら、どの場面なら、親が離れたほうがいいのか、と思い悩むことは多い。幼稚園の集団生活が始まったら? 小学校に入学したら? 子どもが友だちとケンカしているのを目撃しても、仲裁はおろか諭したり慰めたりもせずにただただ見守るだけのほうがいいんだろうか。そのほうがひとりで解決するすべを身につけていくというものか。それとも、親がそばにいて世界には自分の味方がいることを感じさせたほうがいいのだろうか。子どものほうが相談をしてきたら、どうだろう? それならそばにいて話を聞いてあげるほうがいいかもしれない。では、それは子どもがいくつまでならいいんだろう? 小学校まで? 中学校まで? 30代、40代と大人になればそれさえもするべきではないんだろうか? 母子の距離はどのくらいが適当かという正解は見つけるのが難しく、子どもが小さいうちだけでなく、大人になってからもずっとつきまとう問題だろう。
それは「子どもは自分とは別の人格の他者である」、という紛れもない事実と、それを母親が受け入れられるかどうかにも関係している。もともと自分の胎内にいたために、母親は、「子どもは自己ではなく他者である」という事実が頭ではわかっていても、なかなか飲み込むのに時間がかかることが多い。本作からは逸れるが、このことが虐待のきっかけとなってしまうことも多いのではないか。自分の分身であるのに思い通りにならないもどかしさを子どもに感じ、自分の分身だから思うようにいたぶってもいい、という思いが生まれるんじゃないだろうか。(「3」へ続く…)
『ルーム』は公開中。
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