【週末シネマリサーチ】
〜週末公開作のランキングを予想!〜
(…前編より続く)
〇【2位予想】映画クレヨンしんちゃん 爆睡!ユメミーワールド大突撃
人気アニメ「クレヨンしんちゃん」劇場公開シリーズ第24弾。誰もが好きな夢を見られる世界にやってきたしんのすけたちは、それぞれが思い望む楽しい時間を過ごしてきたが、謎の転校生の出現によって悪夢の世界に引きずり込まれいってしまう……。脚本をお笑いタレントの劇団ひとりが務めたことでも話題になっている。
『名探偵コナン』シリーズと同日公開が定番になっている本シリーズ。昨年公開の『映画クレヨンしんちゃん オラの引越し物語〜サボテン大襲撃〜』は全国339スクリーンで公開され、初週土日動員32万9000人を記録。2011年〜2015年までの過去5年間の初週土日動員数を列記すると、16万8000人⇒17万4000人⇒19万9000人⇒29万4000人⇒32万9000人と右肩上がりだ。
本作は約340館での上映。4月3日に行われた完成披露試写ではゲスト声優として参加している吉瀬美智子と安田顕が登壇。共に「家族から出演を喜ばれた」という、親子で鑑賞する作品ならではのエピソードを披露した。『名探偵コナン』との同日公開対決では分が悪いが、本作も25〜30万人の数字が十分狙える超優良コンテンツだ。
▲【6位予想】『スポットライト 世紀のスクープ』
カトリック教会の神父による児童への性的虐待をスクープしたボストン・グローブ紙の取材チームを描いた実話に基づく物語。第88回アカデミー賞で作品賞と脚本賞を受賞した。
近年のアカデミー作品賞受賞作の結果を見ていくと、『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』(15年/20世紀フォックス)が全国166スクリーンで公開され初週土日動員5万9000人の6位、『それでも夜は明ける』(14年/ギャガ)は全国43スクリーンで公開され、初週土日動員3万2000人の10位、『アルゴ』(12年/ワーナー)は全国115スクリーンで3万8000人の10位(アルゴはアカデミー賞発表前に公開)、『アーティスト』(12年/ギャガ)が7位、『英国王のスピーチ』(11年/ギャガ)が全国107スクリーンで7万7000人の6位という結果。
本作は約110館での上映。公開規模が近い『英国王のスピーチ』あたりが基準になるだろうが、『スポットライト 世紀のスクープ』の前評判は非常に高い。公開直前には、『きみに読む物語』(04年)で日本でも人気の高いレイチェル・マクアダムスも来日し舞台挨拶に登壇するなど、公開に向けて盛り上がりをみせている。上映館数を鑑みて8万人を突破すれば好スタートいえるだろうが、そんな数字を叩き出すだけの潜在能力は十分にある作品だ。
△【10位予想】『関西ジャニーズJr.の目指せ♪ドリームステージ!』
関西ジャニーズJr.のメンバーが主演を務める青春ドラマの劇場版。結成5周年を迎えた売れないアイドルグループ「小姓ズ」が、存続を掛けてミュージカルライブに取り組む姿を描く。
「こじつけだろ!」と突っ込まれそうだが、ジャニーズ関連のあるデータを。2016年の週末土日動員数ランキングは1月2日・3日の週から4月9日・10日の週まで計15週。そのうち1位を記録した邦画実写作品は『信長協奏曲』(東宝)、『黒崎くんの言いなりになんてならない』(ショウゲート)、『暗殺教室〜卒業編〜』の3作品。『黒崎くん〜』と『暗殺教室』はジャニーズの中島健人、山田涼介がそれぞれ主演を務めている。さらに『信長協奏曲』にもジャニーズの藤ヶ谷太輔が出演している。
劇場公開数は約30館。正直、上記のデータと本作が好結果を残すという因果関係は全くないが、競馬の予想には往々にしてこういったこじつけの論理が展開する(当欄は競馬予想ではないが……)。とにかくジャニーズJr.は集客力があるので、連穴としての期待は持てる。
【注目シネマ】
『グランドフィナーレ』
『グレート・ビューティー 追憶のローマ』でアカデミー賞外国語映画賞を受賞するなど、国際的に評価の高いイタリアのパオロ・ソレンティーノ監督最新作。引退した老齢な音楽家が、エリザベス女王のために曲を披露してほしいと頼まれたことから起こる心の葛藤や、胸の内に秘めた想いを描いた感動物語。
劇場公開数は約20館。4月7日には都内でPRイベントが行われ、写真週刊誌で年上男性との交際が報じられたフリーアナウンサーの高橋真麻が出席。多くの報道陣を前に交際宣言し、メディアを賑わせた。小規模公開のためランキングに入ることは難しいだろうが、ソレンティーノ監督作品が好きな人には外せない作品だ。(文:磯部正和/映画ライター)
磯部正和(いそべ・まさかず)
雑誌の編集、スポーツ紙を経て映画ライターに。基本的に洋画が好きだが、仕事の関係で、近年は邦画を中心に鑑賞。本当は音楽が一番好き。不世出のギタリスト、ランディ・ローズとの出会いがこの仕事に就いたきっかけ。
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