【今日は何の日】ホロコーストに思いを馳せる国際デーに、アンネ・フランクにまつわる映画を
#アウシュビッツ#アンネ・フランクと旅する日記#コラム#ホロコースト#ホロコースト犠牲者を想起する国際デー#今日は何の日#私の親友、アンネ・フランク
1月27日は「ホロコースト犠牲者を想起する国際デー」である。アウシュビッツのユダヤ人強制収容所がこの日に解放されたことに由来する国際デーだ。そこで今回は、おそらく世界で最も有名であろうホロコーストの体験者、アンネ・フランクにまつわる映画2作品をご紹介しよう。
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アンネの架空の親友が現代に舞い降りるファンタジー
最初にご紹介するのは、アニメーション映画『アンネ・フランクと旅する日記』だ。アンネ・フランクは、空想の親友キティーに語り掛ける形で日記を書き綴った。この作品は、アムステルダムの博物館に展示されているアンネの日記帳からキティーが飛び出して、アンネを探すファンタジーである。
日記の中でだけアンネと対話をしていたキティーは、アンネに何が起こったか知らない。忽然と姿を消してしまった親友アンネを探すべく、日記の中から飛び出して自分の住処であり生命線でもある日記帳を携え、アンネ探しの旅に出かける。一方世間では「博物館からアンネの日記が盗まれた!」と大騒ぎになり、キティーは窃盗犯として追われる身となる。次第にキティーはアンネの身に何が起こったかを知るようになるのだが…。キティーは、今なおやむことのない少数派や弱い者に対する世間の心無い仕打ちとも対峙しながら、現代のアムステルダムの街を駆け抜けていく。
昨年93歳で亡くなったアンネの親友による悲しい回顧録
『私の親友、アンネ・フランク』は、2021年にオランダで制作され、Netflixで配信された実話に基づくフィクション映画である。ナチス占領下のアムステルダムでともに青春を過ごしたアンネの親友ハンナ・ゴスラ―による、アンネとの回想録が下敷きとなった作品だ。ハンナは昨年10月にイスラエルでこの世を去るまで、ホロコーストの生き証人として人々に歴史的事実を伝え続けた。
物語は、ナチス占領下で一定の制限を受けながらも青春を謳歌していた頃の回想シーンと、収容所内でのシーンを織り交ぜながら進んでいく。アンネ・フランクに焦点を当てた作品が多い中、本作はハンナの視点で物語が描かれている。2人は毎日仲良くおしゃべりに興じて過ごしていたが、ある日度が過ぎるアンナの悪ふざけにハンナが腹を立て喧嘩別れをしてしまう。だが、皮肉にもこれが2人が「塀の外」で過ごす最後の機会となった。
そして、アンネは仲の良い友人たちに別れも告げず忽然と姿を消してしまう。ハンナは「アンネは家族とスイスへ行ったんだよ」と聞かされるが、実はこの突然の別れは例の屋根裏部屋での潜伏生活の開始を意味していた。その後2人は収容所内で再会を果たすことになる。だが、アンネは不衛生で劣悪な環境の収容所、ハンナは捕虜交換キャンプ、と別々の場所に収容されていた。作中では、塀越しの密会を通じてアンネが「病気でお腹が空いているの。何か食べものを持ってきて」と弱々しい涙声で訴えるシーンが胸を締め付ける。ハンナはそんな親友のために、命の危険を冒して食べ物を工面し、塀の向こうのアンネに届けようとするのだ。(アンネと姉のマルゴットは、収容所解放を目前に病気と飢えのために亡くなっている)
完全なノンフィクションではないため脚色されている部分もあるが、収容所内で2人の少女が不幸な再会を果たし、そして塀の外での再会はついぞ叶わなかったことは事実である。高齢化によりホロコーストの生き証人がどんどん減っていく中で、本作のような実体験に基づく作品は貴重と言えるだろう。(T)
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