先月末、NBCユニバーサルを傘下に持つコムキャストがドリームワークス・アニメーション(DWA)を38億ドルで買収すると発表した。
ドリームワークスは1994年にスティーブン・スピルバーグ監督、大物音楽プロデューサーのデビッド・ゲフィン、ディズニーの映画部門の責任者だったジェフリー・カッツェンバーグの3人で設立。その後、2004年に実写映画部門(ドリームワークス)とアニメーション映画部門(DWA)が分離し、DWAは株式を上場した。
DWAは『シュレック』『マダガスカル』『カンフーパンダ』を大ヒットさせシリーズ化して業績を伸ばしてきたが、近年は興行的な不振作が続いていた。14年には日本のソフトバンクや米大手玩具メーカーのハズブロへ身売り交渉を行うが失敗。16年に入り、ようやくMBCユニバーサルという引き取り手を見つけた。
ユニバーサルのCGアニメ作品は、提携するプロダクションのイルミネーションが『怪盗グルー』シリーズなどを製作している。DWAの買収でイルミネーションと2ブランドを要することになる。
アニメといえばウォルト・ディズニーが強い。ピクサーアニメーションとディズニーアニメーションの2ブランドがあり、合わせて年間2〜4本を公開している。ユニバーサルも2ブランド体制でディズニーを追撃する。
DWAの創設者でCEOのジェフリー・カッツェンバーグはDWAの経営から退き、DWAニューメディアの会長として新規事業に力を入れたり、新たにNBCユニバーサル全体のコンサルティング業務を請け負う。DWAの経営はイルミネーションのクリス・メレダンドリCEOが兼任する。いわばDWAの立て直しはメレダンドリ氏に託す形となり、ピクサーのジョン・ラセターがディズニーアニメの立て直しを任されたのと同じ体制だ。
ユニバーサルはテーマパーク「ユニバーサル・スタジオ」を所有する。DWAには『シュレック』シリーズをはじめ人気キャラクターが数多くあり、これらをテーマパークで活用したり、キャラクタービジネスを強化する狙いもある。さらに、NBCユニバーサルの親会社コムキャストはケーブルテレビ最大手なので、ケーブルチャンネル向けに人気キャラが登場するテレビアニメを製作する目論見もあるようだ。(文:相良智弘/フリーライター)
相良智弘(さがら・ともひろ)
日経BP社、カルチュア・コンビニエンス・クラブを経て、1997年の創刊時より「日経エンタテインメント!」の映画担当に。2010年からフリー。
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