アカデミー主演女優賞のサプライズ候補となったアンドレア・ライズボロー、SNSでのキャンペーン方法めぐって騒動に
物議醸すもノミネーションは取り消しにならないことが決定
3月発表の第95回アカデミー賞で、主演女優賞ノミネート獲得キャンペーンの手法が調査され、そのプロセスが問題視され、ノミネーション取り消しの可能性も囁かれていたアンドレア・ライズボローだが、ノミネーションは取り下げられないことが決定した。
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先週発表された第95回のアカデミー賞のノミネーションで、主演女優賞のサプライズ候補となったアンドレア・ライズボロー(『To Leslie(原題)』)。オスカーの主要な前哨戦であるゴールデン・グローブ賞や英国アカデミー賞(BAFTA)、主演女優賞受賞の行方に最も影響力があると言われる全米映画俳優組合(SAG)で候補入りしなかった彼女が5人の候補の中に入ったことは発表直後から物議を醸した。
実話を基にしたインディーズ映画『To Leslie(原題)』は宝くじ当選後に金を使い果たし、アルコール依存症となったシングルマザーの物語で、ライズボローはタイトルロールである主人公レスリーを演じている。実力派で知られ、最近ではクリスチャン・ベイル扮する主人公の妻を演じた『アムステルダム』(22年)やベネディクト・カンバーバッチ扮する主人公の妻役の『ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ』(21年)などで活躍するライズボローの迫真の演技を知らしめるべく、ハリウッドの大物俳優たちが中心となってバックアップしたのだが、そのキャンペーン手法がアカデミー賞を主催する映画芸術科学アカデミーの規則に抵触するのではないかと声が上がったのだ。
アカデミー賞候補はアカデミー会員たちの投票によって選出されるが、投票期間中から候補入りを目指して各映画会社は高額な費用をかけてキャンペーンを展開するのが常だ。一方、『To Leslie』は低予算作で昨年10月の公開以来の興収はわずか27,000ドルだったが、1月に入ってからグウィネス・パルトロウやケイト・ウィンスレットなどのオスカー女優が投票締め切り前に、SNSなどでライズボローの演技を絶賛する投稿を次々とアップした。その結果、SAG賞候補で今回の演女優賞候補入りも確実視されていたヴィオラ・デイヴィス(『The Woman King(原題)』)やダニエル・デッドワイラー(『Till(原題)』)がノミネートされず、ライズボローとミシェル・ウィリアムズ(『フェイブルマンズ』)が候補となった。
業界誌「Variety」によると、『To Leslie』のマイケル・モリス監督と彼の妻で俳優のメアリー・マコーマックらがアカデミー会員に直接メールや電話で連絡し、作品を見てSNSで拡散してほしいと頼んだという。その結果、昨年11月にシャーリーズ・セロンが上映会を、ケイト・ウィンスレットはオンラインのQ&Aセッションを開催し、グウィネス・パルトロウやエドワード・ノートン、スーザン・サランドン、ジェーン・フォンダやローラ・ダーン、ジーナ・デイヴィスなど多くのハリウッド・スターがSNSに絶賛コメントを投稿したが、多くの投稿に「巨大なハートを持つ小さな映画(a small film with a giant heart)」という同じ表現が使われていた。今回、ライズボローと共にオスカー候補になったケイト・ブランシェット(『TAR/ター』)は公式SNSアカウントはないが、1月にクリティクス・チョイス・アワードで主演女優賞を受賞した際のスピーチでアンドレアの演技を讃えた。
調査のきっかけは「SNSに投稿されたコメントの内容」
巨額な宣伝費に頼らない草の根運動でのノミネート獲得は話題を集めたが、アカデミー賞を主催する映画芸術科学アカデミー(AMPAS)はノミネーション発表後に「今年の候補者をめぐるキャンペーンの手順を調査し、ガイドラインに違反がなかったかを確認し、ソーシャルメディアとデジタルコミュニケーションの新しい時代におけるガイドラインの変更が必要かどうかを判断する見直しを行う」と声明を出した。
AMPASが注視しているのはSNSに投稿されたコメントの内容だという。キャンペーンにおいて、競争相手を特定しての批判や中傷は禁じられているが、ライズボローを絶賛する投稿の中に他作品の主演女優を引き合いに出すものなどが見受けられ、こうした内容がルール違反に当たるのではないかと調査が行われた。
AMPASのビル・クレイマーCEOは会員宛のEメールに「最終投票に向けて、アカデミーの行動規範と現行の賞の規則やキャンペーン規定を守っていることを確認してください」「また、自分の投票の傾向について公言したり、他の人に同じような投票をするよう説得することは控えてください」と呼びかけている。
3月12日(現地時間)に発表となる第95回アカデミー賞で主演女優賞にノミネートされたのは、ケイト・ブランシェット(『TAR/ター』)、ミシェル・ヨー(『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』)、アナ・デ・アルマス(『ブロンド』)、ミシェル・ウィリアムズ(『フェイブルマンズ』)、アンドレア・ライズボロー(『To Leslie(原題)』)の5人となっている。
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