お見事!5月も東宝の戦略勝ち『ロクヨン』と『せか猫』で10代から50代までをわしづかみ

#映画興収レポート

『64-ロクヨン-前編』
(C)2016映画「64」製作委員会
『64-ロクヨン-前編』
(C)2016映画「64」製作委員会
『64-ロクヨン-前編』
(C)2016映画「64」製作委員会
『世界中から猫が消えたなら』
(C)2016 映画『世界から猫が消えたなら』製作委員会

5月に入ってからもディズニーアニメーション『ズートピア』が好調だ。

週末興行ランキングでは公開3週目で1位を獲得。その後、3週連続で首位をキープしている。ディズニーファンである女性を中心に子どもから大人まで幅広い客層を集客。5月22日時点の興収は45億円で、ゴ−ルデンウイーク映画で『名探偵コナン 純黒の悪夢』に次ぐヒットとなっている。

5月10日には大ヒット御礼舞台挨拶が東京で行われ、日本語吹き替え版声優を務めた上戸彩と森川智之が登壇し、話題作りに務めた。5月13日からディズニーツムツムに『ズートピア』のキャラクターが登場したこともPRにつながっているようだ。

一方『名探偵コナン 純黒の悪夢』は興収57億円。前作『業火の向日葵』(15年、44・8億円)を大幅に上回りシリーズ最高を更新した。

5月公開作の1位は『64-ロクヨン-前編』。横山秀夫の小説を2部作で映画化した前編だ。製作元のTBSでは映画特番を放映したり、出演者が『ジョブチューン』『A-Studio』『ぴったんこカンカン』などのバラエティ番組に出演してPRに務めた。

配給元・東宝の発表によると、初日の客層は男女比が48対52、年齢別では50代が42.2%、40代が23.1%。中高年層をしっかり集客して、ヒットしている。

2位は『殿、利息でござる!』。『武士の家計簿』で知られる歴史家・磯田道史の『無私の日本人』に収録されている一編を映画化した時代劇。年貢で困窮する宿場町の将来を案じた町人たちが、藩にお金を貸して利子を住民に配る奇想天外な計画を立て、実現に奔走する。製作元の松竹では時代劇コメディ『超高速!参勤交代』を大ヒットに結びつけており、観客は同じく笑いを求めていたようだ。阿部サダヲ、瑛太、妻夫木聡、竹内結子とキャストが豪華な点も、観客を引き付けたと思われる。

3位は『世界中から猫が消えたなら』。本屋大賞受賞を受賞し、100万部を突破しているベストセラー小説を佐藤健、宮崎あおいで映画化した感動ドラマ。自身の寿命を伸ばすことと引き換えに、「電話」「映画」といったものが彼の思い出と共に消えていく……。配給元・東宝の発表によると、初日の客層は男女比が31対69、年齢別では20代が25.2%、10代が19.9%。『64』とは逆に若者層をとらえて手堅い興収をあげている。(文:相良智弘/フリーライター)

[5月公開作ランキング]
1位『64-ロクヨン-前編』10億円
2位『殿、利息でござる!』6億円
3位『世界中から猫が消えたなら』5億円
(5月22日時点。ムビコレ調べ)

相良智弘(さがら・ともひろ)
日経BP社、カルチュア・コンビニエンス・クラブを経て、1997年の創刊時より「日経エンタテインメント!」の映画担当に。2010年からフリー。

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