前編/子どもたちの姿が切ない! 大人に頼らず奮闘する姿に心打たれる『神様メール』【ついついママ目線】
【ついついママ目線】『神様メール』前編
“大人になれない大人たち”ばかり…
自己中心的で傍若無人で娘にも平気で暴力を振るう男。それが『神様メール』に登場する全知全能の神様だ。とんでもない神様像で最低な男だが、ファンタジックなコメディだから腹も立たずに流せてしまうことができる。ブリュッセルのアパートに住むこの神様が気分転換のために人類を誕生させ、暇つぶし程度にパソコンで操作して大惨事や些細な不幸を起こして苦しむ人間の姿を見て楽しんでいる。
それを見かねた主人公である娘のエアは人間たちが運命から解放されることを願って、それぞれに余命を知らせるメールを送る。家出をしたエアがブリュッセルの街で出会うのは男を虜にする美女だけど片腕の孤独な女性、殺人衝動を抱えた元保険屋、裕福だが夫との関係は冷めた寂しい主婦など、市井に生きる普通の人々。
ここに出てくる大人は成長できていない精神的な子どもばかりだ。迷える大人たちへ贈る人間賛歌というべき本作だから当然といえば当然だし、目くじら立てるのは無粋かも知れない。でも、最後にエアが出会うのは少年のウィルで、登場するのが大人ばかりなら見過ごせても、エアとウィルという健気に奮闘する子どもたちの姿に切なくなって、大人が子どもなことが気になってしまう。
ウィルの親はどうしようもなく悪人で次元が違いすぎるために、もっとこうしてあげていれば、という気さえ起こらない。だがやはりそこもファンタジック・コメディだから、リアルなものとしてではなく単なる悲劇として受け止めることができる。
ただ、本筋とは離れたところで、子どもには精神的に成熟した大人がそばにいるべきだと感じてしまった…。(後編「子どものために、親自身が成長しなきゃ」に続く…)
・後編/子どもたちの姿が切ない! 大人に頼らず奮闘する姿に心打たれる『神様メール』【ついついママ目線】
『神様メール』は公開中。
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