「釈放されるまで、食べることも飲むことも拒否します」と宣言
最新作『No Bears(英題)』(22年)が昨年9月のヴェネチア国際映画祭審査員特別賞を受賞したジャファル・パナヒ監督が、昨年7月から収監されているイランのエヴィン刑務所においてハンガーストライキを開始した。
現在62歳のパナヒ監督は「釈放されるまで、私はいかなる食料を食べることも飲むことも、医薬の服用も拒否します。おそらく命が消えた私の体が刑務所から解放されるまで、私はこの状態に留まります」と宣言している。
昨年7月にパナヒ監督はエヴィン刑務所に赴き、映画監督仲間のモハマド・ラスーロフとモスタファ・アルアマドの逮捕について抗議したが、その際に未執行の刑があるとして逮捕されてしまった。
パナヒ監督は反体制デモを支持して2010年に逮捕され、懲役6年、および20年間の映画製作と渡航の禁止という判決を言い渡された。2ヵ月の服役後に条件付きで釈放されたが、昨年5月に体制を批判する公開書簡を発表し、7月11日(現地時間)に再逮捕された後、収監されたままの状態が続いている。
『白い風船』(95年)、『オフサイド・ガールズ』(06年)、『人生タクシー』(15年)などを手がけ、カンヌやベルリンなど国際映画祭で受賞を重ねてきたパナヒ監督は、自作の数々を通してイランの体制に挑戦し続けてきた。最新作『No Bears』はイランとトルコの国境を舞台に、検閲を痛烈に告発する問題作で、パナヒ本人が映画監督役で出演もしている。
『オフサイド・ガールズ』が審査員グランプリ賞、『閉ざされたカーテン』(共同監督作/13年)が脚本賞、『人生タクシー』が金熊賞に輝いたベルリン国際映画祭のツイッター公式アカウントは「おそらく命が消えた私の体が刑務所から解放されるまで、私はこの状態に留まります」という監督の言葉を引用し、「私たちは、権利のために戦うイランの人々と連帯し、彼の逮捕を非難し、彼の釈放を求めます」と表明している。
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