草彅剛『罠の戦争』絶好調で浮かび上がる、“6年間”を空費させたドラマ業界の罪深さ

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草彅剛
2月6日〜12日のNetflix(TV)7位となった『罠の戦争』
草彅剛
長澤まさみ

草彅剛の6年ぶり連ドラ主演作『罠の戦争』がNetflixトップ10入り

草彅剛が主演する『罠の戦争』が面白い!と評判を呼んでいる。オリコンの最新ドラマ満足度では3週連続1位となり、Netflixでもテレビドラマのトップ10入り。本作は草彅の6年ぶりとなる連ドラ主演作で、長年尽くしてきた政治家から過酷な仕打ちを受けた議員秘書が、政治家に復讐する姿を描いた作品だ。

復讐される悪徳議員を演じる本田博太郎はじめ、岸部一徳や片平なぎさ、高橋克典らが演じる政治家たちがいかにも腹黒そうで、ついつい「彼はあの議員がモデルかな?」「こっちはあの大臣をモデルにしている?」とリアル政治家たちを重ねて見てしまう。加えて、元総理大臣の孫でもある宮澤エマが野心溢れる週刊誌記者を演じているのも、文春砲を連想させてニンマリしてしまう。

議員のダメ息子が議員秘書を務めるも父親の足を引っ張ってばかりだったり、ジェンダー差別やパワハラが横行していたり、失言が実は本音満載だったり……などなど、現実の政治劇を彷彿とさせるネタがあちこちに散りばめられている脚本も見事だ。

のんの“空白期間”ももったいなさ過ぎる

そして草彅の熱演。元々、演技力には定評のあった彼が久々の連ドラで、6年間の思いをぶつけるかのように迫力ある演技を披露し、圧倒的な存在感を示している。

こんないい俳優を6年間も干していたテレビって、何なのだろう。復讐劇をハラハラドキドキ楽しむ一方で、ふとそんなことを考えてしまう。もちろんその間に、映画『ミッドナイトスワン』に出演して日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞するなど着実に実力を伸ばしていたのだが、大作に出演できていたわけではない。

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もう一人、似たような境遇の俳優がいる。NHK連続テレビ小説『あまちゃん』で大ブレイクするも、その後、あっという間にテレビに起用されなくなってしまった“のん”だ。アジアのテレビCMで人気を博しているとも聞くし、最近はNHKの番組に出演しているようだが、日本のテレビドラマでの活躍はとんとご無沙汰だ。

声優を務めたアニメ『この世界の片隅に』が数々の映画賞を受賞したほか、『私をくいとめて』『さかなのこ』など映画作品では実績を積んでいるが、もっともっと活躍してもおかしくない存在なのに。

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色々と事情はあるのだろうが、こちらとしては面白いドラマや映画を見たいだけなのだ。そもそも今の日本に、人気も才能もある俳優たちを村八にしている余裕があるのだろうか? 音楽はもちろんだが、ドラマも映画も韓国に大きく引き離され、他のアジア諸国の台頭も著しい。そんな時に、才能溢れる人々を活躍させず飼い殺しにするのは、自殺行為にも思えてしまう。

そういう意味では、草彅剛を『罠の戦争』で連ドラ主演させたカンテレは気骨あるテレビ局なのかもしれない。これを機に、草彅がどんどんドラマ出演してくれることを願うばかりだ。

長澤まさみ

そういえばカンテレは、前クールは問題作『エルピス』を放送してくれたテレビ局でもある。あのドラマも、今のモヤモヤした社会情勢を見事にすくい取ってくれていたっけ。この調子で今度はぜひ、のんの超面白い主演連ドラを作ってくれたりすると嬉しいのだが。

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