6月の興収1位はあのお下品ヒーロー! 若者のハートをつかんだPR戦略とは!?

#映画興収レポート

『デッドプール』ポスター
(C)2016 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved.
『デッドプール』ポスター
(C)2016 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved.

6月の興収ランキング1位は、異色のアメコミヒーロー映画『デッドプール』。『デッドプール』はX-MENシリーズの中に含まれるが、アメリカでは本家を上回る興収3億6300万ドルの大ヒットを記録。日本でもシリーズ最高の1作目の18.5億円に迫る18億円をあげている。6月26日時点の興収なので、記録更新となるのはほぼ間違いない。

配給元の20世紀フォックスではデッドプールのキャラクターを前面に押し出した宣伝を展開。日本版のチラシやポスターのビジュルでは、デッドプールが「呼んだ? クソ無責任ヒーローですけど、何か?」とお尻に手を当て振り返るお茶目なポーズ。裏面では、「一応ヒーローやってます」というメッセージと共に、名前入りのタートルネックを着たデッドプールが写し出されている。

特報映像では「やあ、デッドプールだよ。準備はいいかい? 俺ちゃんの予告が始まるよ。瞬きするな」と観客にメッセージを送るデッドプールの姿からスタートするユニークなもの。その後にお披露目された予告編もユニークな内容ばかりで、10代20代の若者層を中心に観客の関心度を高めた。

ちょっとおバカで下品なキャラクターで人気を集めた『テッド』をほうふつとさせる宣伝展開が奏功したようだ。本家『X-MEN』は、若きX-MENの活躍を描くシリーズを締めくくる完結編『X-MEN:アポカリプス』が8月11日に公開される。『デッドプール』のヒットが弾みになりそうだ。

2位は有川浩の恋愛小説を映画化した『植物図鑑 運命の恋、ひろいました』。普通のOLがマンションの前で行き倒れていた青年と出会い、半年間の期限付きで一緒に暮らすことになる。高畑充希と三代目J Soul Brothersの岩田剛典が共演。岩田のファンである10代20代の女性を中心に観客を集めている。主演の2人がTBS『ぴったんこカンカン』や日本テレビ『しゃべくり007』などのバラエティ番組に出演してPRに務めた。

3位は横山秀夫の小説を2部作で映画化した後編の『64-ロクヨン-後編』。大ヒット中の『前編』の勢いが後編にも表れており、公開後16日間の興収は約13億円。前編の30%増のペースで推移している。

なお、『ズートピア』は72億円まで興収を伸ばしており、上半期としては『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』に次ぐ大ヒットとなっている。(文:相良智弘/フリーライター)

[5月公開作ランキング]
1位『デッドプール』18億円
2位『植物図鑑 運命の恋、ひろいました』16億円
3位『64-ロクヨン-後編-』13億円
(6月62日時点。ムビコレ調べ)

相良智弘(さがら・ともひろ)
日経BP社、カルチュア・コンビニエンス・クラブを経て、1997年の創刊時より「日経エンタテインメント!」の映画担当に。2010年からフリー。

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