東出昌大、天才プログラマー・金子勇演じ「こんな天才が歴史と裁判の中に埋もれてしまったのか」と衝撃…7年の年月に思い馳せる
東出昌大が、主演を務めた『Winny』の完成披露試写会に登壇。三浦貴大、渡辺いっけい、吹越満、そして松本優作監督と共に本作への思いを語った。
・世界を揺るがした“Winny事件”! なぜ天才開発者は国家組織に潰されてしまったのか?
「7年の月日の熱量と信念を受け取って映画に焼き付けたかった」
ネット史上最大の事件ともいわれた禁断の実話を映画化、不当逮捕から無罪を勝ち取った天才開発者・金子勇の7年の道のりを描いた本作。
・[動画]東出昌大、自宅で突如逮捕された天才プログラマーに/映画『Winny』予告編
革新的なソフト「Winny」を開発した金子勇役の東出。本作に出会う以前は、金子勇さんのことも事件のことも知らなかったため、取材をしながら役作りに励んだという。その過程で金子さんについて「こんな天才がいたのかと驚いた。ここまで純粋無垢でプログラム愛に溢れた人が歴史と7年に渡る裁判の中に埋もれてしまったのかと」と衝撃を受けたことを語る。
そして、演じる上では「皆さんに金子さんを知ってもらいたい、金子さんが素晴らしいからこそ自分も金子さんになりたいという一心でお芝居をしました。体重を増やしたり、金子さんの遺品を借りたりしましたが、金子さんを知っている方々皆さんが嬉々として金子さんの話をしてくれて、その一つ一つが役作りに繋がりました」とその思いを明かした。
サイバー犯罪に詳しい弁護士・壇俊光役の三浦は「壇さんが金子さんのことをどのように思っていたのか? それは壇さんからお話を伺う中で、壇さんの表情から金子さんへの思いが伝わってきたので、そこを大切に演じました」と回想。裁判シーンの撮影に際しては、実際に裁判に関わった関係者を交えての模擬裁判が事前に行われたそうで「実際の裁判記録に沿って壇先生がやってみせてくれたので、僕はそれを丸々コピーしようと思いました」と三浦が言うと、東出は「丸々コピーできるのが凄いですよ!」と絶賛。
この日は登壇者には、金子さんの実姉からのキャスト、監督それぞれへのメッセージも入った手紙が読み上げられるというサプライズも。東出には、「弟とブラジルで再会することはできませんでしたが、映画の中の東出さんは弟が生き返ったようで、思わず涙が出てしまいました。そして、お墓詣りをしてくださり、お墓をぴかぴかに綺麗に掃除してくださったこと、一生忘れません。本当にありがとうございました」とメッセージが贈られた。
金子さん死去から今年7月で10年。撮影時の東出の姿を見た金子さんの実姉から「勇ちゃんがいる」と言われたという東出は「役者冥利に尽きる」としみじみしながら、手紙の感想については「お手紙をいただけるとは思ってもいなかったので…。あとで直接お礼を申し上げたいです」と目を真っ赤にして涙汲んだ。
最後に東出は「この裁判には7年の歳月がかかったけれど、勝者のない裁判でした。しかし誰も不毛だとは思っていないし、未来のためにと思って戦っていらした。その中に悲喜こもごもの思いがあり、人の生き方、何に命を賭けるのか、一筋縄ではいかないし簡単に説明ができないから一本の映画にしたりする。その7年の月日の熱量と信念を僕らは受け取って映画に焼き付けたいと思って、それがどうやら出来たと僕は思っています」と目を潤ませながら完成に自信。
松本監督も「この映画には、金子さんが生きた時間と弁護団の皆さんが戦った時間が刻まれていると思います。映画の中で起こっている出来事で今とリンクすることが沢山ある。この映画を見ていただき、今の時代を考えることに繋がってもらえたら嬉しいです」と期待を込めていた。
『Winny』は3月10日より全国公開。
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