【週末シネマリサーチ】後編
(…前編「続編の全米興収は期待倒れ?」より続く)
◆『インデペンデンス・デイ』続編に並んだ意外な作品は?
▲【8位予想】『存在する理由 DOCUMENTARY of AKB48』
10周年を迎えた「AKB48」のドキュメンタリー映画シリーズ第5弾。初代総監督の高橋みなみの卒業、高橋を継ぐ形で総監督になった横山由依をはじめとする、新生AKB48の舞台裏に密着。
過去4作は、第1弾『DOCUMENTARY of AKB48 to be continued 10年後、少女たちは今の自分に何を思うのだろう?』こそランク外だったが、その後4作は、7位⇒10位⇒10位と公開規模が小さい割には健闘を見せてきた。
本作は約110館での公開。AKB48の公式ライバルとして誕生した乃木坂46のドキュメンタリー映画『悲しみの忘れ方 Documentary of 乃木坂46』が全国46スクリーンながら、初週土日動員2万9551人を記録するなど好成績を残した。劇場公開数や、激動時期のAKB48の裏側ということで、これまで以上の集客が見込める要素はそろっている。
【注目シネマ】
☆『森山中教習所』
真造圭伍のコミックを、映画『ヒーローマニア 生活』の豊島圭介監督がメガホンをとり、野村周平・賀来賢人のW主演で実写映画化。交通事故がきっかけで偶然再会した清高と轟木。清高は大学生、轟木はヤクザになっていたが、高校時代は同級生という間柄。そんな二人がひょんなことから通うことになった非公認教習所で、さまざまな出来事や事件に遭遇する姿を描いた一風変わった青春物語。
本作は約40館での公開。主演の野村、賀来ともに以前、週刊誌に有名女優との熱愛報道が出ただけに、公開前のイベントには多くのマスコミが集結し、色々な切り口の記事が露出した。さらに共演の麻生久美子が6月9日に第2子妊娠を発表するなど、なにかとニュースになりそうなメンバーが揃っている。豊島監督の前作『ヒーローマニア 生活』(16年/東映・日活)は小規模公開ながら14位という結果を出した。こちらも旬なキャストでスクリーンアベレージは高そうだ。
☆『シング・ストリート 未来へのうた』
『ONCEダブリンの街角で』のジョン・カーニー監督最新作。1980年代のアイルランドを舞台に、カーニー監督の半自叙伝的物語として、若者たちの青春が激しく、そして切なく描かれている。
公開時は10館程度と小規模ながら、岡村靖幸や尾崎世界観(クリープハイプ)などのミュージシャンをはじめ、試写を鑑賞した人からは賞賛の声が多くあがり話題になった。7月5日には、公開直前イベントが開催され、レベッカのボーカルNOKKOがゲスト参加。自身の音楽にまつわる話や、娘とのエピソードを披露しメディアを賑わせた。非常に評判のいい作品。口コミを含め、じっくりと広がっていきそうな映画だ。
☆『死霊館 エンフィールド事件』
実在の心霊研究家に起こった事件を描いた『死霊館』の続編。1977年にイギリス・ロンドン郊外のエンフィールドで起こったポルターガイスト現象を題材に戦慄の恐怖を描く。
本作は約40館での公開。全米では6月に約3300館で公開されると、オープニング興収約4000万ドルを記録した。こちらは『インデペンデンス・デイ:リサージェンス』とほぼ同等の数字だっただけに、劇場数は少ないが、期待は大きいだろう。7月5日には、公開直前イベントが行われ、林家ペー、パー子夫婦と、カリスマモデル“みちょぱ”こと池田美優が出席。作品のイメージとは違うメンバーでのイベントが逆に“違和感いっぱい”で注目された。客層を選ぶ作品だが、注目度は高い。(文:磯部正和/映画ライター)
磯部正和(いそべ・まさかず)
雑誌の編集、スポーツ紙を経て映画ライターに。基本的に洋画が好きだが、仕事の関係で、近年は邦画を中心に鑑賞。本当は音楽が一番好き。不世出のギタリスト、ランディ・ローズとの出会いがこの仕事に就いたきっかけ。
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