7月興行の1位は『アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅』。前作は2010年に公開され、興収118億円の大ヒットを記録したが、今作の出足はそこまでの勢いはない。
『アリス〜』について、シネコン関係者の間では、「前作は3Dブームにうまく乗ってメガヒットした」「アメリカであまりヒットしていない」「ジョニー・デップの妻へのDV疑惑報道があった」ことなどから「前作をかなり下回るのではないか」と興行を危ぶむ声があった。どこまで興行が伸びるかは8月次第だが、シネコン関係者の危惧の通りの興行となりそうだ。
同じく1位は『ファインディング・ドリー』。こちらは近年絶好調が続くディズニー&ピクサーアニメーションなので「大ヒット間違いなし」とシネコン関係者が太鼓判を押していた。前作の興収110億円に達するほどの勢いはないが、夏映画ナンバーワンヒットに向けて幸先の良い出足となった。
3位は『インデペンデンス・デイ:リサージェンス』。リアム・ヘムズワース、ジェフ・ゴールドブラム、マカ・モンロー、ローランド・エメリッヒ監督が来日し、映画史上初めて行った東京スカイツリーでの記者会見が話題を集めた。また『機動戦士ガンダムUC』とコラボレーションを実施。劇場でポスターを掲示したり、コラボ予告編を流したことも注目度アップに一役買っているようだ。
4位は『ONE PIECE FILM GOLD』。初日2日間の興収11.6億円は最終興収68.7億円を記録した前作の興収比84.2%だが、今年最高の成績。絶大な人気を誇る『ONE PIECE』らしい猛ダッシュとなった。原作者の尾田栄一郎が、前作『ONE PIECE FILM Z ワンピース フィルム ゼット』に続いて総合プロデューサーを担当。先着500万人限定で「ONE PIECE」コミックス777巻、先着200万人限定でオールスターゴールドトランプの入場者プレゼントを行ったことで、公開初日に大勢のファンが詰めかけた。また満島ひかり、濱田岳、菜々緒、ケンドーコバヤシ、北大路欣也という有名俳優がゲスト出演していることも話題作りにつながった。冬公開だった前作と異なり、今回は夏休み興行であること、3D、4DXなど幅広いフォーマットで上映されることなどもあり、配給元の東映では「最終興収の60億円超えは確実」と発表している。
5位は『HiGH & LOW THE MOVIE』10.2億円。人気のEXILEメンバー総出演ということで、中学生から20代30代の男女まで集客している。公開前の完成披露プレミアイベントは東京国際フォーラムで行われ、会場に4000人、映画館での同時中継では約2万6000人が鑑賞した。
なお、『ポケモン・ザ・ムービーXY&Z 「ボルケニオンと機巧(からくり)のマギアナ」』は公開9日間で7.3億円。前作の約77%の出足だ。近年『ポケモン』は興行成績が伸び悩んでおり、前作の26.1億円がシリーズ最低。今作もこのままのペースだと最低記録を更新する。「ポケモンGO」の社会現象とは裏腹な出足となっている。(文:相良智弘/フリーライター)
[7月公開作ランキング]
1位『アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅』21.2億円
『ファインディング・ドリー』21.2億円
3位『インデペンデンス・デイ:リサージェンス』20.7億円
4位『ONE PIECE FILM GOLD』11.6億円
5位『HiGH & LOW THE MOVIE』10.2億円
(7月24日時点。ムビコレ調べ)
相良智弘(さがら・ともひろ)
日経BP社、カルチュア・コンビニエンス・クラブを経て、1997年の創刊時より「日経エンタテインメント!」の映画担当に。2010年からフリー。
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