【映画興収レポート】なぜアニメばかりが強いのか?/前編
映画にも安心求めるブランド信仰!
夏映画興行真っ盛りの中、アニメ映画が好調だ。『ファインディング・ドリー』『ONE PIECE FILM GOLD』『ポケモン・ザ・ムービーXY&Z 「ボルケニオンと機巧(からくり)のマギアナ」』がヒット中。8月に入ってからも和製CGアニメ『ルドルフとイッパイアッテナ』、『ミニオンズ』のスタッフが制作したCGアニメ『ペット』、注目の新海誠監督作『君の名は。』と公開が続く。
邦画の『ドラえもん』からディズニーの洋画まで、日本ではとにかくアニメ映画が強い。昨年の年間興行ランキングTOP20を見ても、アニメ映画がずらりと並んでいる。
<邦画>
1位『映画 妖怪ウォッチ 誕生の秘密だニャン!』
2位『バケモノの子』
3位『名探偵コナン 業火の向日葵(ひまわり)』
5位『映画ドラえもん のび太の宇宙英雄記(スペースヒーローズ)』
6位『ドラゴンボールZ 復活の「F」』
8位『ラブライブ!The School Idol Movie』
11位『BORUTO -NARUTO THE MOVIE-』
12位『ポケモン・ザ・ムービーXY 光輪(リング)の超魔神フーパ』
16位『映画クレヨンしんちゃん オラの引越し物語〜サボテン大襲撃』
18位『THE LAST -NARUTO THE MOVIE-』
<洋画>
2位『ベイマックス』
4位『ミニオンズ』
6位『インサイド・ヘッド』
なぜ日本ではアニメが強いのか。昨年ヒットした邦画のアニメ映画を見ると、大きく4つに分類できる。
(1)テレビアニメの映画版で毎年公開されるもの(『ドラえもん』、『名探偵コナン』、『クレヨンしんちゃん』、『ポケモン』、『妖怪ウォッチ』)※NARUTOは昨年で終了
(2)テレビアニメの映画版で2〜3年に1度公開されるもの(『ドラゴンボールZ』)
(3)ファン向けアニメ(『ラブライブ!』)
(4)オリジナルアニメ(『バケモノの子』)
日本の映画人口は年間1億数千万人で、国民1人あたり1年間に1回と少し見る計算。家族で映画を見に行くのは年間に1〜2回が多いだろうから、「みんなが確実に楽しめる」と内容がある程度想像でき安心感のある作品を選びがち。そのためキャラクターやストーリー展開が想像しやすいテレビアニメの映画版が選ばれやすい傾向にあるのだろう。「安心感のある作品を選ぶ」傾向は、洋画アニメでは「ブランド」(プロダクション)信仰につながり、ディズニー(『ベイマックス』)、ピクサー(『インサイド・ヘッド』)、そして近年はイルミネーション(『ミニオンズ』)が家族客に人気だ。
「テレビアニメの映画版で2〜3年に1度公開されるもの」「ファン向けアニメ」とも根強いファン人気が支えているが、逆に「ファンを育てる」戦略で作られてきたのがオリジナルアニメだ。
最大の成功例がスタジオジブリ。初期の『風の谷のナウシカ』『となりのトトロ』『火垂るの墓』の頃は内容の評価とは裏腹に興行的には伸び悩んだ。だがテレビ放映もあって人気がじわじわと広がり、『魔女の宅急便』以降は連続ヒットとなっている。
近年の成功例は細田守監督。『時をかける少女』(興収2.6億円)、『サマーウォーズ』(16.5億円)、『おおかみこどもの雨と雪』(42.2億円)、そして『バケモノの子』が58.5億円と右肩上がりで興収を伸ばし、ファンも増え続けている。
「ポスト細田守」と目されるのが新海誠。02年、『ほしのこえ』で「美しい風景描写」と「遠くに離れた若い男女の恋」を織り交ぜた作風が熱烈なファンを引き付ける。以降、発表作品は次々と賞を受賞。13年には東宝映像事業部配給で『言の葉の庭』がロングラン上映された。そして今年、満を持して東宝配給で全国拡大公開されるのが『君の名は。』だ。(後編「一方、アメリカでは…」に続く…)
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