【映画を聴く】『君の名は。』前編
RADWIMPSのファンだった新海誠監督
いよいよ本日より公開となった新海誠監督の最新作『君の名は。』。作画監督にスタジオジブリ作品で知られる安藤雅司、キャラクターデザインに『心が叫びたがってるんだ。』の田中将賀を迎え、美しく精緻な新海ワールドはさらに進化。物語としても多くの人の心に届くであろう力強いメッセージを盛り込んだ集大成的な仕上がりで、“東宝の夏アニメ”に選ばれたことにも納得できる。そして主題歌と劇中音楽をロックバンド、RADWIMPSが担当していることも本作の大きな話題だ。
何よりもまずその映像美が語られることの多い新海作品だが、音楽と物語の親和性の高さも無視できない魅力のひとつ。これまで『ほしのこえ』『雲のむこう、約束の場所』『秒速5センチメートル』『星を追う子ども』の4作でアニメ/ゲーム音楽の作編曲家の天門が、前作にあたる『言の葉の庭』でエレクトロニカ系アーティストとして知られるKASHIWA Daisukeが劇中曲を担当。特にKASHIWA Daisukeによるピアノ曲の数々は、物語の通騒音と言える雨音と絡み合い、その響きと余韻が作品の格調をさらに押し上げていた。また、秦基博によるエンディングテーマ「Rain」は大江千里による1988年の楽曲のカヴァーで、その選曲の絶妙さにも新海監督のセンスを垣間見ることができた。
なお、野田洋次郎は昨年、松永大司監督『トイレのピエタ』で俳優としてデビュー。日本アカデミー賞 新人賞を受賞するなど、その演技が高く評価されたばかりだ。
(後編「映像美だけじゃない! RADWIMPSの音楽で加速する『君の名は。』の世界観」に続く…)
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