ネタバレ厳禁! 気持ちいいほどのどんでん返しが楽しめるホラー『The Witch/魔女』
『The Witch/魔女』は2018年の公開作品だが、公開から5年ほど経った現在でも、未見の人には一文字たりともネタバレができない。新規公開作ではないが、見ていない人にとっては『ベン・ハー』であろうとなんだろうと新作である。あれこれネタバレして面白みを奪ってしまうのはできるだけ避けたい。だが、ひとつだけネタバレさせて欲しい。『The Witch/魔女』には続編『THE WITCH/魔女 -増殖-』があり、5月26日に公開されるのだ。
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1作目を見てからの鑑賞がおすすめ! 『THE WITCH/魔女 -増殖-』
『THE WITCH/魔女 -増殖-』を一足早く試写で鑑賞したが、「ホラー映画の続編」として文句なしの仕上がりなので、『The Witch/魔女』をご覧になった人は、ぜひ映画館に足を運んで欲しい。そして、未見の人は、1作目を見たうえで、『THE WITCH/魔女 -増殖-』を鑑賞するのがおすすめだ。
最近は「1を見ていなくても大丈夫」的な作品が多いが、『THE WITCH/魔女 -増殖-』は、『The Witch/魔女』を見ていないと全く意味が解らないと思う。だがこれは、全く傷にならない。1を見れば必ず2を見たくなるし、2を見たら1を見ないと気がすまなくなるからだ。今ならNetflixでもAmazon Prime Videoでも見放題になっているので、ぜひどうぞ。
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ちなみに、『The Witch/魔女』は一応ホラー映画だが、音による驚かしや精神に直撃してくるような恐ろしい映像は一切ないので、ホラー映画初心者の人も楽しめるだろう。だが、血はかなり飛び散るので、ゴア表現が苦手な人は注意したほうがいい。
主人公を演じるキム・ダミの演技が凄まじい
キム・ダミの演技はとにかく素晴らしい。韓国でのインタビューで「自分に点数をつけるとしたら?」と訊かれて「60点ですかね? 演技が上手くできたとは思っていません」と答えている。600点の間違いではないのか、とバカみたいな数字を持ち出してしまうくらいには、凄まじい演技をみせている。
キム・ダミの商業映画の初出演作は『マリオネット 私が殺された日』だが、『The Witch/魔女』で一気に有名になった。そして、映画の公開から2年間の沈黙を経て、あの『梨泰院クラス』に参加している。『The Witch/魔女』を視聴済みだった人々は、『梨泰院クラス』のキム・ダミのサイコっぷりを見るにつけ「キム・ダミが隠し持っていた能力を発動させ、長家のボスを一瞬で屠ってしまうのではないか」と思ってしまったことだろう。
キム・ダミの相手、というわけではないのだが、重要な役柄として、チェ・ウシクも配役されている。『新感染 ファイナル・エクスプレス』では野球部の高校生を演じ、見事にゾンビに食われ、『パラサイト 半地下の家族』では、ソン・ガンホの息子役として、金持ちの家に寄生するきっかけを作った。『The Witch/魔女』は、ちょうど『新感染 ファイナル・エクスプレス』と『パラサイト 半地下の家族』の間の期間に公開されているので、もう、毎年当たった映画の当たり役である。
爽快な“擬闘シーン”にも注目!
本作の見所は、一部の隙もない、映画的快楽すら感じるどんでん返しの脚本だが、擬闘シーンもメインコンテンツだといえるだろう。韓国映画の擬闘シーンは非常にレベルが高く、本作も最高水準の擬闘を見せてくれる。役者の肉体で表現するのではなく、カメラワークや編集で構築していくタイプで、この技術力もハイスキルだ。
とはいえ「人間ではありえないバトル」というか、チキチキ異能バトルが繰り広げられるので、若干の胡散臭さを感じるが、これがまた面白いのと、技術力の高さで脱臭してみせる。また、いわゆる「俺TUEEE」状態が持続するので、現代的で、とにかく爽快感がある。韓国擬闘は強そうな奴はマジで強く、拳に実質的な重みすら感じるが、本作は相当にライトで、その軽さがエンターテイメント性を担保している。感覚的にはMCUに近い。
完璧な脚本、完璧な擬闘、そしてキム・ダミを筆頭とする役者陣の完璧な演技。あらゆるホラー映画には、どこかしら残念な要素があるものだが、本作にはそれがない。というか、最近のホラー映画は総じてレベルが高く、知的である。それはそれで最高なのだが、果たして「駄目なホラー映画を見たい」という欲求は、贅沢な煩悶だろうか。(text:加藤広大/ライター)
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