スクールカーストの次は就活! 実体験を“取って出し”する人気作家・朝井リョウ

#何者#元ネタ比較

『何者』
(C)2016映画「何者」製作委員会 
(C)2012 朝井リョウ/新潮社
『何者』
(C)2016映画「何者」製作委員会 
(C)2012 朝井リョウ/新潮社
『何者』
(C)2016映画「何者」製作委員会 
(C)2012 朝井リョウ/新潮社
『何者』
(C)2016映画「何者」製作委員会 
(C)2012 朝井リョウ/新潮社

【元ネタ比較】『何者』前編
就活生のSNS事情に切り込んだ話題作

映画化もヒットした「桐島、部活やめるってよ」でデビューした朝井リョウ原作の直木賞受賞作「何者」が、佐藤健、有村架純、二階堂ふみ、菅田将暉ら豪華キャストで映画化された。

「桐島〜」はいつの時代も学生がとらわれるスクールカーストをベースにした青春群像劇だった。学校というとても狭い社会のなか、暗黙の了解の下の立ち位置で、みんなの中心的な派手なグループ、彼らに認められたい二軍、平凡なその他大勢、時に嘲笑の的となるオタクたちといった、それぞれ住み分けした立場の者たちの日常がリアルに息づいていた。

客観性が少なく、「これが今の若者の生の声なんですよ〜」というアピールが感じられる作風は好き嫌いあるだろうが、それだけ現場にいる当事者の息苦しさは伝わってきた。

そんな朝井リョウが「何者」で描いているのは就活だ。10代のときに「桐島〜」で高校生を描き、20代前半で大学生の就職活動を描き、つくづく実体験から取って出しのスピードで産出する作家なんだなぁと思う。

「何者」も「桐島〜」と同じく、明確な起承転結のストーリーがあるわけでなく、主人公たち就活生の日常と心情がつづられていく。そのなかで特徴的に描かれるのは、現代人とは切っても切り離せないSNSの存在だ(中編に続く…)。(文:入江奈々/映画ライター)

(中編「就活とSNSでがんじがらめ〜」に続く…)

『何者』は10月15日より全国公開される。