鈴木エイト、統一教会と安倍元首相との問題を知るためのガイドラインになれば
安倍元首相がもたらしたのは美しい国か、妖怪の棲む国か?
『新聞記者』(19年)など世に強く訴える問題作を手掛けてきたスターサンズと、現役総理大臣のドキュメンタリー『パンケーキを毒見する』(21年)の内山雄人監督&制作スタッフが、“日本の真の影”に切り込む政治ドキュメンタリー映画『妖怪の孫』。本作の公開を記念し、公開前日の3月16日に新宿ピカデリーにて公開前夜舞台挨拶が開催。旧統一教会問題を取材するジャーナリストの鈴木エイト、本作の企画プロデュースを担当した元経済産業省官僚の古賀茂明、そして本作のメガホンをとった内山雄人監督が登壇した。
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この日はWBC準々決勝当日だったが、会場には大勢の観客が来場。その様子を見た古賀が「WBCなんで誰も来ないかと思っていました」と安堵した表情を見せると、鈴木が「これが映画デビュー作となります。古賀さんに声をかけていただいて出演することになりました。僕は普段、テレビとかでも全然緊張しないんですが……今日も全然緊張してないです」と初の映画舞台挨拶ながらも軽妙なトーク。さらに内山監督も「野球を見なくて良かったんですかと心配になるくらいですが、今日は来ていただけて良かったです」とホッとした様子を見せた。
菅元首相を題材としたドキュメンタリー映画『パンケーキを毒見する』のヒットにより、同作の河村光庸プロデューサーは「次は本丸(安倍元首相)だ」と意欲を見せたというが、昨年の6月11日に心不全のために急性。それでも河村プロデューサーの遺志を継いで作業を進めていたという内山監督は、「簡単にやれるものではないですけど、やはり映画にする以上は証拠になる映像がなければ、ということでいろいろと二転三転したということです」と述懐した。
企画プロデューサーを務めた古賀は、「河村さんとは以前から安倍さんを(テーマにしたドキュメンタリーを)やりたいという話をしていて。電話がかかってくるといつも2時間、3時間ずっと話し続けていたんです。でもあるとき河村さんと話した時に20分で終わったことがあって。そうしたら次の日に亡くなってしまったんです。ただ口癖のように『これをやらなかったら死んでも死にきれない』とおっしゃっていたので。だからその遺志を継がないといけない。自分ならお手伝いができるかなと思い、やらせていただきました」と本作に参加した経緯を明かした。
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大きな社会問題となった、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と政治家とのつながりにも果敢に攻め込んだ本作。その背景を解説するために、鈴木が出演している。内山監督は「この映画って、お願いした代議士には全部断られたんです。テレビに出ているような元官僚たちにも断られて。その断られ方は『パンケーキを毒見する』以上だった。だから古賀さんを通じてエイトさんに出ていただけることになって良かった」と経緯を説明。
鈴木は「映画では、自民党の政治家に統一教会がどう関わってきたのかを説明したんですが、それをうまく拾ってうまくまとめていただいた。この映画を見れば、(旧統一教会と安倍さんに)どういう関係性がつむがれてきたのか、分かるようになるんで、この問題を知るためのガイドラインになると思いますね」と太鼓判を押した。
現在、高市元総務大臣が放送法の政治的公平性に関して記された総務省の行政文書について、「ねつ造だ」と反発をするなど世間を騒がせている。古賀は「ちょうど今、高市さんが騒がれていて。僕のところにも取材が来ていますけど、(本作に)この話が入っているというのは、(監督は)知っていたの?と驚いてしまうほどですが。こんなことになるなんて思いもよらなかったですね」と驚きを隠せない様子。
鈴木も「自民党が(政府に批判的な番組を)すべてチェックしていると言っていましたが、統一教会もすべての番組をチェックしていると言っていた。そういう意味では自民党も統一教会も同じことをしているんだなと思います」と言及した。
「大手メディアでできないことをやろう」というのが本作の命題だったという。内山監督は「安倍さんが亡くなったのになんでこんな映画を作るんだと言う人もいますけど、ここでは皆さんの知らない安倍さんをお見せしようというのが狙いなので」とコメント。
鈴木も「自分も事実を提示して、あとの判断は皆さんでどうぞというスタンスをとっていますが、これもそう。安倍さんを冒瀆するのではなく、事実を提示して、そこから判断をしてもらえたら」と語った。
『妖怪の孫』は公開中。
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