伝統と革新、優美さと鋭利さ、そして他の追従を許さない強烈な“密度”と“強度”を持った作品スタイルで、映画界に常に新鮮な衝撃と深い感動を与えてきたドイツ映画の中から、選りすぐった注目作を集めて上映する「ドイツ映画祭2016」。10月15日にTOHOシネマズ六本木ヒルズで開幕したこの映画祭の記者会見が、同日、メルセデス・ベンツ コネクション 1階GALLERYで行われ、ドイツ人監督や俳優に混じって、オープニング上映作品『フクシマ・モナムール』に出演する桃井かおりが登壇した。
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桃井は、記者からの「なぜ、芸者という本作の役を受けたのか? 正直、外国映画で芸者というのは、かなりステレオタイプで陳腐な役柄設定と感じるのですが…」という質問に、「今回、私が演じたのは、いわゆる“フジヤマ/ゲイシャ”に連想される“芸者”とは全く異なります」と反論。
「監督も、常々、映画界には『Don’t Touch GEISHA!(芸者のキャラクターには手を出すな)』という格言?があると言っていましたが(笑)、私が演じたキャラクターの基になったのは、実在した釜石最後の芸者と言われた方で、人も物も全てを震災で失いながらも、自分が死んでしまうと、釜石の芸者が代々謡い継いできた歌の継承者が途絶えてしまう…。時に死にたくなる様な辛さを感じつつも、その継承の火を途絶えさせたくないという一心が、彼女の生命力を強くしている、そんなキャラクターです。ですので、今、記者の方が仰った様なステレオタイプの“ゲイシャ”では全くなく、むしろ、今まで海外作品で描かれた中で、一番正しい芸者像だと自負しています」とステレオタイプの芸者とは異なる役柄であることを説明。
「三味線の練習ではとても苦労しましたが(笑)、今回、ドリス・ドリエ監督とお仕事をご一緒させて頂き、羨ましいと同時に悔しくもあった。それは『ドイツ人は賢いだけではなく、とてもパワフル』ということでした。そんな素晴らしい監督、キャスト、スタッフの方々と作り上げた、とてもエモーショナルでかつ見る人を幸せにする作品です。ぜひ、ご期待下さい」と続けた。
一方、このコメントを受けて、メガホンをとったドリス・ドリエ監督は「桃井さんが今仰った様に“同じボート”と言うのは、日本中だけだはなく、世界中が同じボートに乗っていると感じます。だからこそ、電気を使う度に、あの震災を受けた福島に思いをはせ、同じボートに我々は乗っていることをあらためて感じる。ドイツは、あの福島の震災後、原子力発電から撤退した唯一の国であり、そういった部分でも日本とのつながりの深さを感じますし、こういったテーマの作品をエンターテインメントとして表現できたことは貴重な体験でした」と述べていた。
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