2016年11月20日、日活ロマンポルノは生誕45周年を迎えた。これを機に日活では、第一線の監督たちを起用して完全オリジナルの新作ロマンポルノを、BSスカパー!をパートナーとして製作。これが「ロマンポルノ・リブート・プロジェクト」だ。
11月26日に行定勲監督作『ジムノペディに乱れる』が公開されるのを皮切りに、塩田明彦監督作『風に濡れた女』(12月17日)、白石和彌監督作『牝猫たち』(17年1月14日)、園子温監督作『アンチポルノ』(1月28日)、中田秀夫監督作『ホワイトリリー』(2月11日)が順次公開される。
8月に行われた記者会見で日活・佐藤直樹社長はプロジェクトの狙いをこう語った。「2012年の日活創立100周年時にロマンポルノ特集上映を行い、大きな反響があった。若い人が多く、女性客が6割を占めていた。日本はもちろん、海外でもロマンポルノを再評価していただくためのプロジェクトをできないかと考えた」「今は日本映画が元気だが、映画はかつての自由さを持っているだろうか。(ロマンポルノのように)性描写、上映時間は70分程度、ローバジェット(低予算)。この3つを条件に現場に高い自由度を与えたら、どうなるだろうと考え、5人の監督が手を挙げてくれた」。
塩田監督は「監督がオリジナルの企画を立てて映画化することがすごく難しい」、白石監督は「今の日本映画は原作が何万部も売れていて、結果として興行的に成功すれば“良い映画”という価値基準。でもそれが映画の全てではない」、中田監督は「(日本では)オリジナル作品を企画しても映画会社が大きいほど全く相手にされない」。
ロマンポルノの自由な製作環境は監督らにとって大歓迎だったようだ。だが、日活も監督もプロ。自主製作映画ではないので、ビジネスとして成功させなければならない。
そこで「低予算」「撮影期間は1週間」となるわけだが、撮影期間から推定すると製作費は1本あたり3000万円×5人=1億5000万円。劇場公開「R18+版」に合わせてBSスカパー!で「R15+版」を放映することで、近くに上映劇場のない観客もターゲットにすることができる。またBSスカパー!をパートナーにして製作費を負担してもらうことで日活単独で製作するリスクを抑えている。(文:相良智弘/フリーライター)
相良智弘(さがら・ともひろ)
日経BP社、カルチュア・コンビニエンス・クラブを経て、1997年の創刊時より「日経エンタテインメント!」の映画担当に。2010年からフリー。
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