【興行トレンド】昨年の勝ち組・負け組/ハリウッド編
メガヒット連発で絶好調のディズニー
2016年の映画会社の勝ち組・負け組を「日本編」「ハリウッド編」の2回に分けて取り上げます。今回はハリウッド編です。
1月〜12月4日までの映画会社別の総興行収入を見ると、勝ち組の筆頭はウォルト・ディズニーの24億9000万ドル。16年に興収3億ドル超えのメガヒット作は9本あるが、うち5本がディズニー配給という絶好調の年だった。
・東宝が14年連続の連続首位、自社製作作品も連続メガヒット/日本編
『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(9億3700万ドル)、『ファインディング・ドリー』(4億8600万ドル)、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(4億800万ドル)、『ジャングル・ブック』(3億6400万ドル)、『ズートピア』(3億4100万ドル)。
マーベルのヒーロー映画やディズニー&ピクサーアニメーションというブランド力のある作品を要するディズニーだが、13年〜15年は2位。1位となるのは2003年以来のこと。『スター・ウォーズ』の貢献度が大きいといえそう。
特に同社が有するDCコミックスはマーベルに対抗して今年から2本ずつ公開させたが、『バットマン〜』『スーサイド〜』が大ヒットし、まずは順調なスタートを切った。当初『バットマン〜』は『シビル・ウォー』と同日公開だったが、競争を避けて公開日を前倒ししたことが奏功したようだ。
一方、負け組はメジャー6社中、最下位のパラマウント(7億7000万ドル)。これで5年連続の最下位となった。興収1億ドルを超えたのは『スター・トレックBeyond』(1億5900万ドル)のみ。夏の勝負作『ミュータント・ニンジャ・タートルズ 影(シャドウズ)』は8200万ドル止まりで、同じく夏の勝負作『ベン・ハー』は2600万ドルと「大コケ」だ。
メジャー各社は年間に10数本から20本以上を劇場公開する。基本的なラインナップ戦略は、売り上げの柱となる人気シリーズを毎年公開しつつ、シリーズ化を視野に入れた大作(アクションが中心)を巨額の製作費をかけて作ること。パラマウントの公開本数は14本とディズニーと同じだが、ディズニーはマーベルのヒーロー映画やディズニー&ピクサーアニメーション、アニメでおなじみのキャラクターを実写映画化とラインナップの柱がしっかりしているのに対し、パラマウントは柱が『スター・トレック』のみ。しかも興収1億ドル台と物足りなさが残る。シリーズ2作目の『ミュータント・ニンジャ・タートルズ』は1億ドルに届かず、この先のシリーズに不安を残す。パラマウントが浮上するにはまだまだ時間がかかるようだ。(文:相良智弘/フリーライター)
相良智弘(さがら・ともひろ)
日経BP社、カルチュア・コンビニエンス・クラブを経て、1997年の創刊時より「日経エンタテインメント!」の映画担当に。2010年からフリー。
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