アニメ映画『この世界の片隅に』がロングランヒットを続けている中、本作がクラウドファンディングを活用して作られたことが話題となっている。
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クラウドファンディングとはインターネット経由で不特定多数の人から資金を調達すること。資金提供者に対するリターン(見返り)の形態によって大きく3つに分類される。
『この世界の片隅に』は「購入型」で、支援する金額によって「原作者が描き下ろした主人公のイラスト付きのハガキが届く」「制作支援メンバーミーティングに参加できる」「本編のエンドロールに名前がクレジットされる」など内容が異なっている。
クラウドファンディングの主旨を『この世界の片隅に』のサイトでは「この映画は、準備作業に4年を費やし、シナリオ・絵コンテが完成したところまで辿り着きました。集まった資金は、作品をこの先のステップに進めていくためのスタッフの確保や、パイロットフィルムの制作に使わせてください」と説明。目標額2160万円に対し、最終的に支援者3374人から約3900万円が寄せられた。
この資金が「企画開発費用」として使われ、その後製作委員会が構成されて製作費が集められ、映画は完成にこぎつけた。
クラウドファンディングサイトはいくつかあり、『この世界の片隅に』の元となった「Makuake」(マクアケ)、映画系のプロジェクトが多い「MotionGallery」(モーションギャラリー)、CCCグループのプラットフォーム「GREEN FUNDING by T-SITE」(グリーンファンディング)などがある。
『この世界の片隅に』で集めた金額は約3900万円だが、これは製作資金の一部にすぎない。むしろ資金集め以上に重要だったのが3374人の支援者の存在だ。クラウドファンディングを通じて製作中からファンコミュニティーを作って映画を盛り上げていき、SNSを通じて話題を拡散させていったことが映画のロングランヒットに結びついたといえるだろう。
なお、『この世界の片隅に』では「海外上映を盛り上げるため、片渕監督を現地に送り出したい」と別のクラウドファンディングを募集。「イギリス、フランス、ドイツ、メキシコ、アメリカを始め世界15ヵ国での配給が既に決定しておりますが、この国々に片渕須直監督が赴くための渡航費用・滞在費用をご支援いただけないでしょうか」という主旨で資金を募ったところ、プロジェクト開始後、わずか11時間で目標金額である1080万円を達成。集まった金額は約3000万円、支援者は3246人にのぼっている(1月10日時点)。劇場でのロングランヒット同様、支援者の熱は冷めることなく続いている。(文:相良智弘/フリーライター)
相良智弘(さがら・ともひろ)
日経BP社、カルチュア・コンビニエンス・クラブを経て、1997年の創刊時より「日経エンタテインメント!」の映画担当に。2010年からフリー。
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