松山ケンイチ、長澤まさみが初共演する『ロストケア』が公開。ムビコレでは、前田哲監督と長澤まさみのインタビューを掲載中だ。
「(松山ケンイチとの対峙は)意思の固さ、怖さも感じた」(長澤)
65歳以上の高齢者が人口の3割近くを占める現代の日本が抱える問題に切り込む『ロストケア』は、葉真中顕の原作小説を前田哲監督が映画化したもの。
原作を読み、原作者・葉真中の思いに共感したことが映画化への決め手だったと話す前田監督。「斯波(松山ケンイチ)と大友(長澤まさみ)の対決、やりとりの中に日本の問題が全て凝縮されていると思いました。介護だけじゃなく、安楽死も尊厳死も含めてです。行政のあり方、国のあり方。もう何十年も前から少子化になることはわかっていたのに、何も手を打ってこなかったこともです」。「警鐘を鳴らしたかった」と、前田監督はその思いを語る。
一方、検事・大友秀美を演じた長澤は「私自身も、介護や両親の老後との向き合い方にすごく関心があったので、気になる題材でした」。演じる上で不安もあったと話すが、「最後のシーンに心をつかまれるものがあって、これはやりたいと思いました」と、台本に強く惹かれて出演を決めたことを明かした。
松山が演じたのは、“心優しい青年”と慕われながらも42人もの人間を殺めた連続殺人犯・斯波。斯波(松山)と大友(長澤)、2人が最後に対面する場面は、「暗くて広いスタジオに机と椅子しかない状態」で撮影された。
長澤は、「大友が一方的に自分の思いを吐露するようなシーンでしたが、スタジオに何もない状態で演じることに違和感はなかったです。動きがあるシーンではなかったので、至って普通にというか。周りに何もないということが意識の中になくて、普段の撮影と変わらない心境でした。だから、見ている人たちの方が異質に感じたかもしれません」と撮影時を振り返る。
「意思はとても固く感じたし、斯波としての怖さみたいなものもありました」と松山と対峙した印象を語る長澤。一方で前田監督は「松山さんは最後のシーンで震えてましたから、逆に。長澤さん……というか大友の圧に。見ていて、互いに手の内を見せないでの対決だったので『こう来ますか』という様子がわかりました」と、現場に物凄い緊張感が漂っていたことを伝えた。
最後に長澤は、年明けに飼っていた愛犬が亡くなってしまったことにも触れ「(犬から)いろんなことを学ばせてもらったなと自分も感じて。家族から学ぶことって、本当にたくさんあるんだな、と実感しました。どういう風に生きるかという問いと、今は向き合っているのかもしれません」と思いを打ち明けインタビューを締め括った。前田哲監督と長澤まさみのインタビュー全文はこちらから!
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