月間の映画興行成績について解説する【映画興収レポート】。今回は1月のランキングを紹介します。また、正月映画ランキングについても解説!
1月公開作の1位は『本能寺ホテル』。本能寺の変の前日にタイムスリップした女性(綾瀬はるか)が織田信長(堤真一)の命を救うべく奔走する歴史ミステリー。キャストの綾瀬、堤、濱田岳が中心となってテレビの情報番組やバラエティ番組に数多く出演してPRに務めた。
2位の『ドクター・ストレンジ』は魔術を操るマーベルの最新ヒーロー。27日からの公開で、3日間で興収5.1億円をあげた。主演のベネディクト・カンバーバッチは来日しなかったものの、悪役に扮したマッツ・ミケルセンが初日舞台あいさつに出席したり、カンバーバッチ作品の吹き替えで知られる俳優の三上哲、樋口可南子、松下奈緒がイベントに参加したことなどが注目度アップにつながったようだ。
1月公開作に興収10億円超えのヒット作は生まれなかった。ちなみに、正月映画の興行成績トップ3(1月29日時点)は次のようになっている。
『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』(72億円)
『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(44億円)
『バイオハザード:ザ・ファイナル』(41億円)
『ファンタスティック・ビースト』は、10年公開『ハリー・ポッターと死の秘宝PART1』が68.6億円、11年の『PART2』が96.7億円なので、その中間だ。『ハリー・ポッター』はUSJのアトラクション人気もあり根強いファンが多い。ファンの中心客層である大人の女性からファミリー客をしっかり取り込んで大ヒットした。『ファンタスティック』は「シリーズを5作作る」と原作者が明かしており、幸先の良いスタートとなった。
『バイオハザード』は日本が世界最速公開。アメリカでは1月27日公開で初日3日間で興収1850万ドル。『ローグ・ワン』が興収5億ドルを超えていることを考えると、『バイオ』の日本での健闘ぶりが光る。日本発のゲームの映画化らしく、本国・日本で大人気だ。4Dシアターの稼働率が高いのも興行を後押しした。
上位3位は洋画が占め、邦画はやや元気がなかった。邦画トップは『映画 妖怪ウォッチ 空飛ぶクジラとダブル世界の大冒険だニャン!』。シリーズ3作目で子どもの関心度が薄れるなか、アニメと実写の融合で新鮮さを出したが、結果は31億円。前作の6割程度にまで落ち込んだ。(文:相良智弘/フリーライター)
[12月公開作ランキング]
1位『本能寺ホテル』7.3億円
2位『ドクター・ストレンジ』5.1億円
3位『新宿スワン?』4.2億円
(1月29日時点。ムビコレ調べ)
相良智弘(さがら・ともひろ)
日経BP社、カルチュア・コンビニエンス・クラブを経て、1997年の創刊時より「日経エンタテインメント!」の映画担当に。2010年からフリー。
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