『ラ・ラ・ランド』が史上最多タイの14部門で候補となった第89回アカデミー賞。トランプ大統領就任式の10日ほど前に行われたゴールデン・グローブ賞の授賞式では、メリル・ストリープが大統領を批判するスピーチを実施。就任式の前日や翌日の抗議デモにはロバート・デ・ニーロ、ジュリアン・ムーア、スカーレット・ヨハンソン、ジュリア・ロバーツ、ナタリー・ポートマンら大勢のスターが参加。いまハリウッドでは「反トランプ」の立場を鮮明にするスターが増えている。元々ハリウッドにはリベラルな民主党支持者が多く、8年前にオバマ大統領が誕生した時に沸いたのとは対照的だ。
・メリル・ストリープがトランプ批判、トランプ氏も反撃/ゴールデン・グローブ賞授賞式
そんな中、2月26日(現地時間)に開催される授賞式はどうなるのか。昨年、アカデミー賞の俳優部門候補者が2年連続で白人だけだったことをきっかけにアカデミー協会に批判が向けられた。その影響もあってか、俳優部門に6人のアフリカ系俳優がノミネートされた(デンゼル・ワシントン、ルース・ネッガ、マハラシャ・アリ、オクタビア・スペンサー、ナオミ・ハリス、ビオラ・デイビス)。候補者は授賞式会場の前列に座るので、授賞式の中継では目立つ。人種差別発言を連発するトランプ大統領へ格好の抗議アピールとなるだろう。
さらに、受賞者がスピーチで大統領批判を行うことがあるかもしれない。2003年、イラク戦争が始まってから行われた授賞式では『ボウリング・フォー・コロンバイン』で長編ドキュメンタリー賞を受賞したマイケル・ムーア監督はスピーチの際、「ブッシュ大統領よ、恥を知れ」と厳しく非難。会場は称賛とブーイングが吹き荒れた。
13年の授賞式では『アルゴ』が作品賞を受賞した際、大統領夫人のミシェル・オバマがプレゼンターを務めた。トランプ大統領夫人のメラニアや、娘のイヴァンカがプレゼンターを務める日は来るのだろうか。(文:相良智弘/フリーライター)
相良智弘(さがら・ともひろ)
日経BP社、カルチュア・コンビニエンス・クラブを経て、1997年の創刊時より「日経エンタテインメント!」の映画担当に。2010年からフリー。
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