『ラ・ラ・ランド』が史上最多タイの14部門で候補となった第89回アカデミー賞。2月26日(現地時間)に授賞式が行われるが、その前に、アカデミー賞ノミネート作品に絡み、映画会社の勝ち負け状況をおさらいしてみた。
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アカデミー賞作品賞にノミネートされた9本の米国での配給会社は以下のようになる。
『ラ・ラ・ランド』/(配給会社/以下同様)ライオンズゲート
『ムーンライト』/A24
『メッセージ』/パラマウント
『ハクソー・リッジ(原題)』/ライオンズゲート
『マンチェスター・バイ・ザ・シー』/ロードサイド・アトラクションズ
『LION/ライオン 〜25年目のただいま〜』/ワインスタイン・カンパニー
『最後の追跡』/ライオンズゲート
『Fences』/パラマウント
『Hidden Figures』/20世紀フォックス
『ムーンライト』を配給するA24は独立系で最も若い。14年に設立、ニューヨークを拠点としている。昨年の配給本数は18本あるが、興収シェアは0.6%で1%に満たない。「小規模の独立系」といえるだろう。作品賞候補となるのは昨年の『ルーム』に続き2度目。昨年のアカデミー賞では『ルーム』が主演女優賞を受賞、『エクス・マキナ』が特殊効果賞を受賞した。同社にとってアカデミー賞は「生命線」。設立以来、40本以上を配給してきたが、全米で同社史上歴代1位の興収を記録したのが『エクス・マキナ』(2540万ドル)、4位が『ルーム』(1470万ドル)。『ムーンライト』は3位(1940万ドル、2月5日時点)で、このまま興収を伸ばせば『エクス・マキナ』超えの可能性もある。
アカデミー賞に社運がかかるのは『マンチェスター・バイ・ザ・シー』のロードサイド・アトラクションズも同じ。03年に設立されたが、作品賞候補になったのは11年『ウィンターズ・ボーン』以来2度目。これまで100本以上を配給してきたが、全米で同社史上歴代1位の興収を記録しているのが『マンチェスター・バイ・ザ・シー』だ(4380万ドル、2月5日時点)。
負け組はハリウッドメジャーで作品賞候補を逃したワーナー・ブラザース、ウォルト・ディズニー、ユニバーサル、ソニー・ピクチャーズ。特に公開前は作品賞候補の呼び声が高かったのがアン・リー監督作『ビリー・リンの永遠の一日』(ソニー・ピクチャーズ)。アカデミー賞監督賞に2度輝くリー監督の新作であり、イラク戦争の英雄となった青年ビリーの戦争体験と心の葛藤を描く実話の映画化から公開前は注目を集めたが、「アン・リー監督にしては深みに欠ける内容」と酷評。賞レースにからむことなく、興行収入はわずか170万ドル止まりだった。(文:相良智弘/フリーライター)
相良智弘(さがら・ともひろ)
日経BP社、カルチュア・コンビニエンス・クラブを経て、1997年の創刊時より「日経エンタテインメント!」の映画担当に。2010年からフリー。
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