ジリ貧『相棒』に下げ止まりのきざし

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『相棒-劇場版IV-首都クライシス 人質は50万人!特命係 最後の決断』
(C)2017「相棒-劇場版IV-」パートナーズ
『相棒-劇場版IV-首都クライシス 人質は50万人!特命係 最後の決断』
(C)2017「相棒-劇場版IV-」パートナーズ

【映画興収レポート/2月】
強力ライバルを避けた公開日設定が奏功

2月公開作の1位は『劇場版第4作『相棒 劇場版IV 首都クライシス 人質は50万人!特命係 最後の決断』。公開3週目で興収13.6億円は前作の約88%。シリーズは1作目(08年、44.4億円)、2作目(10年、31.8億円)、3作目(14年、21.2億円)。回を重ねるごとに興収を大幅に落としてきたが、下げ止まりそうだ。

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1作目、3作目はGW、2作目は12月の公開。前3作は映画観客が多いシーズンに公開してきたが、大作がひしめきあう時期でもあることから、今作は強力なライバルがいない時期にずらして公開。これが奏功したようだ。公開記念プレミアイベントを1月17日に大阪・道頓堀、東京プレミアイベントを1月24日に東京・六本木ヒルズで開催。大勢のファンが集まったことがメディアで取り上げられたことも動員アップに貢献した。

2位は『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』。来日したティム・バートン監督は2日連続でイベントと会見に出席。1月30日の公開直前イベントには、本作の宣伝隊長「ピース」の綾部祐二と又吉直樹も出席。翌31日の記者会見には、ファッションモデル・女優の松井愛莉とInstagramで人気を博す双子のりんか&あんなも出席した。また公開記念舞台挨拶が2月4日に行われ、日本語吹き替え版で声優を務め宮野真守が登壇した。

『ラ・ラ・ランド』は作品賞逃すも
アカデミー賞効果で興収伸ばしそう

3位は『劇場版 ソードアート・オンライン オーディナル・スケール』。全世界累計発行部数が1900万部を超える小説のアニメ映画化。12年と14年に2度テレビアニメ化されている。原作者が映画のために書き下ろした完全新作ストーリー。全国151スクリーンという中規模公開ながら興収は9.4億円。客層は、中高生の男女グループからカップル、30代から40代の小説・アニメファンまでと幅広い。

なお、2月24日から公開された『ラ・ラ・ランド』は初日3日間で5.7億円。「アカデミー賞最多タイの14ノミネート」が話題となり、授賞式直前の公開だったが好スタートを切った。来日したライアン・ゴズリングとデイミアン・チャゼル監督は2日連続でイベントと会見に出席。1月26日のジャパンプレミアイベントには米倉涼子が出席。翌27日には記者会見を実施した。さらに2月9日にはお笑い芸人の渡辺直美が公開直前イベントに出席。映画のPRに一役買った。アカデミー賞では作品賞を逃したものの、監督賞、主演女優賞など最多6冠に輝いた。今後、アカデミー賞効果で興収を伸ばしそうだ。(文:相良智弘/フリーライター)

[2月公開作ランキング]
1位『相棒−劇場版IV−』13.6億円
2位『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』10.6億円
3位『劇場版 ソードアート・オンライン −オーディナル・スケール−』9.4億円
(2月26日時点。ムビコレ調べ)

相良智弘(さがら・ともひろ)
日経BP社、カルチュア・コンビニエンス・クラブを経て、1997年の創刊時より「日経エンタテインメント!」の映画担当に。2010年からフリー。

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