先月行われたアカデミー賞授賞式では、トランプ大統領批判や作品賞の読み間違えが話題となったが、密かに脚光を浴びていたのがアマゾンだ。
・前代未聞!アカデミー賞授賞式でハプニング、作品賞を『ラ・ラ・ランド』と間違えて発表!
同社が製作した『マンチェスター・バイ・ザ・シー』は作品賞ほか6部門で候補になり、主演男優賞と脚本賞を受賞。動画配信サービス会社として初めてアカデミー賞作品賞にノミネートされた(作品賞候補作『最後の追跡』は動画配信サービスのネットフリックスで配信中だが、同社は製作に携わっておらず、配信権のみ獲得)。
授賞式では司会のジミー・キンメルがオープニングトークで「映画業界は進化しています。アマゾンの作品が候補になりました。動画配信サービスから作品賞候補が選ばれたのは今回が初めてです。ジェフ・ベゾス社長、おめでとうございます」とわざわざコメント。その後、会場にいた社長がテレビに映し出された。アカデミー会員がアマゾンを歓迎していると読み解ける一コマだ。
アマゾンは映画をまず劇場で公開し、一定期間をあけてから配信する。対するネットフリックスは、劇場公開と同時に配信を行う。アカデミー会員は、ドキュメンタリー映画ならまだしも、映画の劇場公開及び映画興行を重視しており、両社の劇場公開戦略の違いが授賞式での扱いの違いに表れたと読み解くことができる。昨年、ネットフリックス初のオリジナル映画『ビースト・オブ・ノーネイション』は子役がベネチア国際映画祭でマルチェロ・マストロヤンニ賞を受賞するなど批評家の評価は高かったが、アカデミー賞ではノミネートなし。ネットフリックス映画がドキュメンタリー部門以外でノミネートされるには劇場公開戦略を変える必要がありそうだ。
アマゾンは昨年のサンダンス映画祭で『マンチェスター・バイ・ザ・シー』の配給権を1000万ドルで獲得し、アカデミー賞へとつながった。今年の映画祭では何を買ったのか。ジャド・アパトー監督がプロデューサーを務める『The Big Sick』を破格の1200万ドルで購入。パキスタン出身のコメディ俳優とアメリカ人女性の恋愛をカルチャーギャップを交えて描くロマンティックコメディだ。誤って殺人の罪で収監されている男性と、彼の友人が20年以上にわたって裁判のやり直しに取り組む姿を描く実話の映画化『Crown Heights』、イスラム国を描くドキュメンタリー映画『City of Ghosts』、大御所グループ、グレイトフルデッドのドキュメンタリー『Long Strange Trip』などを買い付けた。来年のアカデミー賞にからんでくるか注目だ。
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