【映画を聴く】『キングコング:髑髏島の巨神』後編
戦闘シーンの合間にちりばめられた心憎い音楽的演出
キングコングを扱った映画としては2005年のピーター・ジャクソン監督『キング・コング』以来となる『キングコング:髑髏島の巨神』。舞台は1973年のベトナム戦争が終わった直後という設定になっている。クリーデンス・クリアウォーター・リバイバルやジェファーソン・エアプレインの楽曲を効果的に使いながら、本作は怪獣映画としてだけでなく、人間ドラマとしてもさりげなく、かついい感じに作り込まれている。
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音楽の使われ方で特に印象に残るシーンは2つある。1つは『地獄の黙示録』に由来するハンク・マーロウという名の髑髏島の住人にして第二次大戦の生存者が、主人公らのチームのクルーがポータブル・レコードプレーヤーでかけるデヴィッド・ボウイの「Ziggy Stardust」を聴いて「どこの世界の音楽だ」と驚くシーン。ボウイが演じた架空のロック・スター、ジギー・スターダストは、この島の先住民族たちにとってのマーロウであり、マーロウにとっての主人公たちである。
とにかく戦闘シーンに次ぐ戦闘シーンで、息つく暇もない映画だが、間隙を縫ってこういった心憎い演出が散りばめられており、繰り返し見るたびに発見がありそうだ。来たるべき2020年の『GODZILLA vs. KONG』を楽しみにしながら、そんなディティールを反芻するのも楽しい。(文:伊藤隆剛/ライター)
『キングコング:髑髏島の巨神』は3月25日より公開中。
伊藤 隆剛(いとう りゅうごう)
ライター時々エディター。出版社、広告制作会社を経て、2013年よりフリー。ボブ・ディランの饒舌さ、モータウンの品質安定ぶり、ジョージ・ハリスンの 趣味性、モーズ・アリソンの脱力加減、細野晴臣の来る者を拒まない寛容さ、大瀧詠一の大きな史観、ハーマンズ・ハーミッツの脳天気さ、アズテック・カメラ の青さ、渋谷系の節操のなさ、スチャダラパーの“それってどうなの?”的視点を糧に、音楽/映画/オーディオビジュアル/ライフスタイル/書籍にまつわる 記事を日々専門誌やウェブサイトに寄稿している。1973年生まれ。名古屋在住。
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