【元ネタ比較】『PとJK』後編
出会って半日のプロポーズは、展開早すぎ!
ヒロインの女子高生・歌子と警察官の功太が結婚するという、女子の好きなアイテムを詰め込んだ三次マキ原作の少女漫画「PとJK」が映画化された。ヒロイン・歌子を土屋太鳳が演じるのはいいとして、功太に亀梨和也が扮するのがしっくりこない。
イメージもイマイチ違うし、年齢も上すぎる。さらには功太の高校生時代も亀梨和也が演じ、オジサンの若作りになっていて、見るに耐えないコント状態。
歌子のクラスメイトの大神役で高杉真宙が出演していて、すでに20代だが、彼が登場すると「コレが男子高校生っていうもんだよな〜」と若々しさにホッとする。いっそ、功太の高校生は他の役者が演じたほうがまだマシだったのでは、と思ってしまった。
合コンで歌子と功太が出会ったその日に大神も登場して歌子がケガ、そして入院。開始早々にライバルのポジションの大神も出揃っちゃって入院とくれば、おやおや、まさか例のあのシーン!?と思ったら案の定、功太からプロポーズ!
え〜、いくらなんでも展開早すぎ、ついていけませ〜ん。2人が出会って24時間どころか半日ぐらいしか経ってないし、映画としても20分も経ってない。これじゃ、ただのキテレツでバカバカしい少女漫画のようじゃないか。いや、実際そうなんだけれども。
確かに原作でも女子高生と警察官が交際ゼロ日婚をするけど、出会ってから「好き、でも付き合っちゃいけない」「でも、好き!」と葛藤や小競り合いがあってからの結婚、と単行本にして1冊分のやりとりがあるから盛り上がるし、流れにもついていけるというもの。
出会ってすぐに結婚だとあまりに突拍子もなさ過ぎて見てる方は呆然としてしまう。その後のエピソードを削ってでも、このラブストーリーで一番大事な振り出しの部分をもっと丁寧に描いて欲しかった。
少女漫画らしい嘘くさいラブストーリーだけど、ちゃんとキュンとできるところが良さなのに。やっぱり少女漫画ってくだらない、と思われてしまうのはもったいない。
クライマックスではミュージカル風にブルーノ・マーズの「マリー・ユー」にのせて登場人物みなで大団円。映画ならではの演出で盛り上げる。まあ、楽しくハッピーな雰囲気が味わえれば、それでいいのか。(文:入江奈々/ライター)
『PとJK』は3月25日より全国公開される。
入江奈々(いりえ・なな)
兵庫県神戸市出身。都内録音スタジオの映像制作部にて演出助手を経験したのち、出版業界に転身。レンタルビデオ業界誌編集部を経て、フリーランスのライター兼編集者に。さまざまな雑誌や書籍、Webサイトに携わり、映画をメインに幅広い分野で活躍中。
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