(…前編「『四畳半神話大系』のスタッフが再集結! ちょっとシュールな世界観〜」より続く…)
【元ネタ比較】『夜は短し歩けよ乙女』中編
冴えないヘタレ男子を星野源が好演
森見登美彦原作の「夜は短し歩けよ乙女」がアニメ映画化された。同原作者の「四畳半神話体系」をTVアニメシリーズ化して人気を博したスタッフが再集結している。
森見登美彦による原作は独特の文体で、やけに説明的で理屈っぽい。英語の直訳日本語のようにまどろっこしい表現も交えられていて、滑稽なぐらいで可笑しみがある。
口語体の携帯小説などとは掛け離れているため、若い世代に支持されるのが意外な気もする。ただ、昨今のJ-POPは行間を読むというよりは理屈っぽい歌詞が多いし、ボカロソングなんて理屈っぽいのの極みだったりする。それを思うと、森見登美彦の文体が若い世代にうけるのも頷けるというものだ。
TVアニメシリーズ『四畳半〜』でもこの特徴的な文体はいかされ、『夜は短し〜』でも受け継がれている。主人公が早口のモノローグで状況や人物をまくしたてるような説明が入るのだ。畳み掛けるような言葉の数々は聞いていてクラクラするほどで、いつしか心地よくなっていく。
主人公である“先輩”の声を担当するのは星野源。“黒髪の乙女”に好意を持ちながらも正攻法ではアプローチできずに空回りしている“先輩”はいじらしくて憎めない。大好評だったTVドラマシリーズ『逃げるは恥だが役に立つ』でのDT草食男子役のイメージが強いせいか星野源はヘタレ男がよく似合う。ラジオでは下ネタトークをかましてるクセに、星野源ってばズルいやつめ。
一方、想い人であるである“黒髪の乙女”の声は女性声優でNo.1といっても過言ではない不動の人気を誇る花澤香菜。ほんわかかわいい声が天真爛漫でちょっぴり天然な“黒髪の乙女”にぴったりだ。
とはいえ、“黒髪の乙女”はただかわいいだけのキャラクターではない。彼女はかなりの酒豪で“詭弁踊り”なんてヘンテコな踊りも踊っちゃうし、面白いことが大好きで好奇心旺盛。ときには大胆に突き進んでいき、そのためにいろんなことに巻き込まれていく。
『夜は短し歩けよ乙女』は4月7日より公開中。
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