【映画を聴く】『ブルーハーツが聴こえる』前編
“日本代表”のロックバンドの名曲が、6つの短編映画に
『ブルーハーツが聴こえる』は、そのタイトルの通り、ザ・ブルーハーツの楽曲に着想を得た6本の短編をまとめたオムニバス映画だ。各作品の概略は下記の通り。
・『ハンマー(48億のブルース)』
監督:飯塚健
出演:尾野真千子、角田晃広、吉沢悠、余貴美子
・『人にやさしく』
監督:下山天
出演:市原隼人、高橋メアリージュン、加藤雅也、西村雅彦
・『ラブレター』
監督:井口昇
出演:斎藤工、要潤、山本舞香
・『ブルーハーツが聴こえる』斎藤工インタビュー/井口監督からのメールで出演を決意!
・『少年の詩』
監督:清水崇
出演:優香、内川蓮生、新井浩文
・『ジョウネツノバラ』
監督:工藤伸一
出演:永瀬正敏、水原希子、藤崎ゆう
・『1001のバイオリン』
監督:李相日
出演:豊川悦司、小池栄子、三浦貴大
全編に共通しているのは、タイトルにブルーハーツの曲名が使われていることと、その楽曲が劇中に使用されていることの2点のみ。物語が直接ブルーハーツやメンバーを描いているわけではなく、6人の監督がそれぞれにブルーハーツのお気に入りの楽曲を自由に解釈し、オリジナルな世界を創造している。
邦画では本作と同じくブルーハーツの代表曲を扱った『リンダ リンダ リンダ』や、尾崎豊とその楽曲をめぐる青春映画『シェリー』と『LOVE SONG』、新しいところでは、シンガー・ソングライターの黒木渚が2014年にリリースしたアルバムの収録曲に材を取った『うつろいの標本箱』などがある。小説家の小川洋子による短編小説集『アンジェリーナ:佐野元春と10の短編』も、趣向としてはこれらに近い。
本作はもともと2015年のブルーハーツ結成30周年を記念して制作がスタートしたが、費用の問題から劇場公開ができない状況に陥り、クラウドファンディングで資金の一部を募ることでようやく公開が実現したという経緯がある。それだけに公開を待ち望んだファンや作り手の思いが端々に感じられる作品に仕上がっており、リアルタイムでブルーハーツのことを知らない若い世代にも訴えかける力を持った作品である。
(後編「〜人生を肯定するJロック・スタンダードの魂に感動」に続く…)
『ブルーハーツが聴こえる』は全国公開中。
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