是枝裕和監督が『怪物』完成披露試写会に登壇、カンヌ国際映画祭を控えた作品に自信を覗かせる
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主演の安藤サクラ、チーム『怪物』久々の勢ぞろいに「泣きそう!」と感無量
是枝裕和監督、脚本・坂元裕二、音楽・坂本龍一による映画『怪物』。本作の完成披露試写会が5月8日に都内映画館で行われ、安藤サクラ、永山瑛太、黒川想矢、柊木陽太、高畑充希、中村獅童、脚本家の坂元、そして是枝監督が登壇した。
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チーム『怪物』久々に勢ぞろいでの初お披露目に「泣きそう!」と感無量の安藤。そして第76回カンヌ国際映画祭への正式出品決定との話題に是枝監督は、「とても光栄です。ただカンヌ出品が決まる前から映画の公開日が決まっていたので不安と心配がありました。(コンペティションへの出品は)そんなに簡単なことではないので、公開を先に延ばした方がいいのではないかと思った。でも結果的にいい形で参加できるということでホッとしています」と喜びを明かした。
安藤も「『万引き家族』の時は初カンヌで朝ドラ撮影もありバタバタでしたが、今回はしっかりとじっくりと映画祭を味わおうと思います」とワクワク。2度目のカンヌ参加という永山は、「一生のうちに何度も行けるものではないので堪能したい」と期待していた。
坂元との初タッグについて是枝監督は、「以前から脚本を自分で書かないのであれば坂元さんにお願いをしたいと思っていて、ラブコールを送っていました。そして川村元気プロデューサーからプロットを開発しているとの話を聞いて、内容を読む前から引き受けることを決めていました」と念願だったことを告白。その坂元は「是枝監督は尊敬する脚本家でもあるので、そんな方に自分が書いていいのかと…。受け入れてくれたことに素直に驚きました」と喜んだ。
パルム・ドール受賞作『万引き家族』直後にオファーがあったという安藤は、「嬉しかった半面、是枝監督の現場にすぐに戻ることと、坂元さんの脚本であることのハードルを高く感じて、長いこと怖気づいていました。覚悟を決められない時間が長かった」と吐露。
しかし完成作品を目にして、「その時の自分を一発殴ってやりたいような気持になって、参加できて良かったと思った。自分の想像を遥かに超えた作品に出させてもらって、参加した一員と言うよりも映画を観た一員として感動して涙が止まらなかった」と報告した。
坂元脚本作品の常連で是枝作品初参加の永山は、「内容とか役とか出番がどうとか、そんなことはどうでも良くて、この2人の座組に入れたこと、このチームに入れたこと、それだけで幸せ者だと思った」と感慨深げ。
一方、黒川は壇上で撮影当時の自分の年齢を勘違いして安藤や永山から微笑ましくツッコまれながら、「撮影中に監督さんがカフェカーを何度が差し入れしてくれて、マシュマロとイチゴが串刺しにされたお菓子を両手に持ってみんなに“いる?”と聞いて配っていたのが楽しい思い出」と笑わせた。柊木も「安藤さんと黒川君とで花火を見たのがとても綺麗で凄かった」と撮影中の一コマを思い出していた。
オーディションで抜擢した黒川と柊木について是枝監督は、「黒川君は横顔のラインがいい。柊木君は会った瞬間に“この子だな”と思った」と起用理由を明かした。坂元も「お2人とも素晴らしいお芝居をされていて役に合っている。この物語は僕自身の子供の頃の体験を基にしていて、柊木君は転校していった僕の友達にとても似ている」と自らの思いを投影していた。
念願の是枝作品参加に高畑は、「撮影前からワクワクしてインするのが楽しみだったけれど、私の初日が他の皆さんのクランクインとも被ってしまって、急に緊張。永山さんとも初めてだったので緊張感マックスでした。でも是枝さんが温かみを持ってくださっている気がして、じんわり温かい気持ちであっという間に終わってしまいました」と夢心地。
一方、是枝監督ファンの中村は、2015年に『海街diary』の是枝監督トークショー付き上映会が行われた際に「勝手に楽屋前に行って待ち伏せして“いつか僕を使ってください!”と言いに行った」と直談判したことを明かし、「それからかなり時間が経ったけど、2020年のコロナ禍の時に家族に“死ぬまでには是枝監督の作品に出られたらいい”と話していた数か月後にこのお話を頂いた。想いは叶うんだなと思った」と喜びを噛みしめていた。
本作は音楽を坂本龍一さんが手掛けていることでも話題だ。是枝監督は「撮影場所が諏訪に決まって風景が明解になったときに、夜の湖に坂本さんのピアノが響けば良いなと思った。撮影中も編集しながら坂本さんの既存の楽曲を映像に仮で当てていて、撮影後に仮当てした作品と共に手紙を書いて坂本さんにオファーしました」と起用の経緯を説明。
・[動画]【トークノーカット】安藤サクラ、永山瑛太、高畑充希、中村獅童、是枝裕和監督ほか/映画『怪物』完成披露試写会
坂本からは「全部を引き受ける体力は残っていないけれど、音楽のイメージが何曲か湧いたので形にしてみます。気に入ったら使ってください」との返信があったという。
劇中では本作のために坂本が作曲した新曲2曲と今年発売されたアルバム『12』からの数曲や既存曲を使用している。是枝監督は「坂本さんが亡くなられたのは本当に残念だけれど、最後にこのような形でご一緒できたのは自分にとっても誇り。この作品に坂本さんの音楽は必要だったと誰よりも自分が感じています」としみじみと語った。
『怪物』は6月2日より全国公開。
・[動画]是枝裕和監督、坂本龍一さんへの思いを語る
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