薬物依存の壮絶な実態、虐待の連鎖、そして隠蔽──薬物依存者の“受難”を丹念に描いた衝撃作
東出昌大主演『Winny』の撮影・脚本を担当した岸建太朗が共同監督
薬物依存の症状に苦しむ弟と、その事実から⽬を背け⽣きてきた兄──愛憎⼊り混じる2⼈の衝突を描いた映画『命の満ち欠け』。本作よりポスタービジュアル、特報、場面写真、監督コメントを紹介する。
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家族を忘れ自分勝手に生きてきた兄・ショウタと、薬物依存に陥り更生施設で暮らす弟・ユウサク。唯一の家族であった祖母が亡くなり、ショウタは弟を引き取りともに暮らすことを決め、弟の人生をもとにした映画を作ろうと、『命の満ち欠け』の脚本を書き始める。
一方、新しい生活に馴染めないユウサクは、次第に薬物の禁断症状に苦しみはじめ、やがて更正施設で起きた、ある”事件”のことを思い出していくが──。
主人公のユウサク役には、本作が初監督であり脚本も手掛けた小関翔太。青黒い顔色、落ち窪んだ瞼と頬など、薬物依存に苦しむ1人の若者に魂全体で憑依したかのような演技を見せ、ユウサクの兄・ショウタ役の上原剛史とともに全身全霊で本作に挑んだ。
共演には、『由宇子の天秤』(21年)で第35回高崎映画祭最優秀新進俳優賞を受賞し、本作では不気味な存在感を放つ梅田誠弘。そして『Winny』(23年)『ガンニバル』等話題作への出演が続く大塚ヒロタ、自立支援施設長役を怪演する伊藤慶徳、『いつくしみふかき』(19年)で注目を集めた遠山雄、『距ててて』(22年)等の若手監督としても活躍する加藤紗希らが集結した。
また、共同監督・撮影を務めた岸建太朗は、『Winny』では撮影と脚本を、『海辺の彼女たち』(20年)では撮影監督を担当し、大阪アジアン映画祭では監督作『Hammock』(18年)が最優秀短編映画賞を獲得するなど映像作家としても幅広く活躍する。本作では少年時代の回想とフラッシュバックで見せる花火のシーンを筆頭に、その映像の美しさとパワーで作品に崇高さを与えている。
■小関翔太監督コメント
この作品は薬物のオーバードーズで亡くなった僕の大事な友人に向けた祈りの作品です。亡くなる直前、僕は何もできずただ傍観した無力な人間でした。そして、その友人が亡くなった原因は、薬物だけでなく僕に対しての失望感からくる孤独な気持ちにあったと思います。15年経った今もその時の最後の電話や、友人の父親から頂いた「友達でいてくれてありがとう」という言葉が胸に突き刺さっています。⻑い月日を経て、作品の中ではありますが、友人と真剣に向き合い、友人の命を僕自身の手で満たしてあげたい、その一心でこの映画を作りました。そしてこの先、その想いを胸に、今もなお薬物依存に苦しむ人達に向けて、このメッセージを届けたいと考えています。
■岸建太朗監督コメント
小関くんと初めて会った時、その表情に「この映画を作れたら死んでもいい」というような「狂気」を感じました。その狂気=彼の中で撮らざるを得ない「切実さ」こそが、「命の満ち欠け」の原動力だと思っています。彼は映画作りを通して「友人の弔い・祈り」を望んでおりましたが、私に出来ることは、彼の内奥に潜むエネルギーを引き出し、俳優達に拡散・衝突させながら、その力をストーリーに還元させることでした。では何をもって「弔い」となるのか。撮影が始まった時、その答えは誰にも分かりませんでした。しかし私たちは、それでも全力で「希望」を紡ぎだそうとしました。その「壮絶な戦いの記録」を、多くの人たちに体感して欲しいです。
『命の満ち欠け』は7月1日より全国順次公開。
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