4月の番組改編でテレビ朝日系「日曜洋画劇場」が終了した。これで21時台のテレビ局の映画枠は日本テレビの「金曜ロードSHOW」のみとなる。これを機に、テレビ放映と洋画ビジネスの変遷を解説する。
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かつて各局に21時から映画枠があった。
【日本テレビ】
「水曜ロードショー」(72年〜85年)→「金曜ロードショー」(85年〜)
【TBS】
「月曜ロードショー」(69年〜87年)→87年〜89年は20時スタート→「水曜ロードショー」(89年〜93年)
【フジテレビ】
「ゴールデン洋画劇場」(71年〜81年は金曜、81年〜01年は土曜)→「ゴールデンシアター」(01年〜03年)
【テレビ朝日】
「日曜洋画劇場」(67年〜13年。13年以降は不定期放送)
【テレビ東京】
「木曜洋画劇場」(68年〜09年)
フジテレビ、テレビ朝日、テレビ東京は「洋画」と番組名に入れ、洋画をメインに放映(邦画を放映する際は「特別企画」などと銘打った)。「洋画」と番組名に入れない日本テレビもTBSも洋画がメインだった。レンタルビデオが普及する以前、1960年代から80年代は劇場以外で映画を見る唯一の存在がテレビの映画枠だったためお茶の間の人気を博した。
90年代にレンタルビデオが普及してからも、以前ほどではないにせよ人気を維持した。例えば、2001月8月31日、9月1日と2夜連続でフジテレビが『タイタニック』を放映し、視聴率34.5%と35.4%を記録。2004年6月25日に日本テレビが『ハリーポッターと賢者の石』を放映し30.8%を記録した(視聴率は関東地区、ビデオリサーチ調べ)。
テレビ局の映画枠の視聴率が良かった頃、テレビ局は洋画の放映権を高値で買った。当時、映画会社が放映権をテレビ局に売る際、大作とそれ以外を「パッケージ」にして売った。テレビ局では高視聴率が見込める大作だけが欲しくても、映画会社の方に交渉力があるため、パッケージを飲まざるを得なかった。
各局が大作を欲しがるため、大作の放映権は争奪戦となり、権利料の高騰を招く。時には10億円、20億円という高値のパッケージが生まれた。
2000年代に入ると、テレビ局では「高値で洋画の放映権を買うぐらいなら自社で邦画を作ろう」と自社製作を強化する。やがて邦画の人気が洋画を上回るようになり、洋画を放映しても視聴率が取れなくなり、洋画の放映権の需要が減る。そして次々と映画枠が消えていった。
残るは「金曜ロードSHOW」のみだが、同枠で放送されるスタジオジブリアニメは高視聴率を記録。2003年1月24日に放映された『千と千尋の神隠し』が46.9%を記録し、映画視聴率の歴代最高をマークした(1977年9月26日以降に放送された番組が対象、関東地区、ビデオリサーチ調べ)。ジブリアニメは何度再放送しても高視聴率が話題となるほど。ジブリアニメが「金曜ロードSHOW」の存続を支えているといえるだろう。
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