4月公開作の1位は『名探偵コナン から紅の恋歌(ラブレター)』。シリーズで人気の高いキャラクター、西の名探偵・服部平次が登場する。大阪の日売テレビで爆破事件が発生、局内では百人一首界をけん引する「皐月会」が開催する会見が行われていた。崩壊するビルの中に西の名探偵・服部平次と幼なじみ・遠山和葉が取り残されるが、コナンに間一髪で救われる−−。主題歌は倉木麻衣。テレビアニメと劇場版を合わせて21回目のコラボとなる。
・『名探偵コナン』新作が週末2日間で興収12.8億円超の歴代最高記録更新!
近年のシリーズの興行成績は絶好調。『絶海の探偵』(13年、36.3億円)、『異次元の狙撃手』(14年、41.1億円)、『業火の向日葵』(15年、44.8億円)、『純黒の悪夢』(16年、63.3億円と4年連続でシリーズ最高を更新し続けている。子どものころに見たファンが大人になっても見続け、ファン層が広がっているからだ。配給元・東宝の発表によると、初日の客層は男女比が36対64、年齢別では20代が41.5%と最も高く、『コナン』はもはや「子ども向け」ではなく「若者向け」アニメ映画といえるだろう。本作も前作を上回る絶好調の出足で、公開後9日間で興収27.6億円をあげており、前作の9%増。さらなる記録更新の可能性は十分だ。
『美女と野獣』といえば数々のミュージカルナンバーが大きな魅力。アラン・メンケン(作曲)とハワード・アシュマン(作詞)によるアニメーション版からの楽曲に、メンケンが新たにティム・ライス(作詞)と組んで作り上げた3曲の新曲が加わっている。『ラ・ラ・ランド』『モアナと伝説の海』『SING/シング』とミュージカル映画のヒットが実写・アニメで続いていることも『美女と野獣』の追い風となった。
3位は士郎正宗の人気マンガ『攻殻機動隊』をハリウッドで実写映画化した『ゴースト・イン・ザ・シェル』。ワールドプレミアが3月中旬に日本で開催され、ルパート・サンダース監督、スカーレット・ヨハンソン、ピルウ・アスベック、ジュリエット・ビノシュという来日メンバーに加え、ビートたけし、福島リラ、桃井かおりといった日本人キャストが一堂に会した。また、日本語吹き替え版は押井守監督のアニメ版『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』で声優を務めた田中敦子(少佐)、大塚明夫(バトー)、山寺宏一(トグサ)の3人を起用したこともファン動員に一役買った。(文:相良智弘/フリーライター)
[4月公開作ランキング]
1位『名探偵コナン から紅の恋歌(ラブレター)』27.6億円
2位『美女と野獣』13.8億円
3位『ゴースト・イン・ザ・シェル』8.5億円
(4月23日時点。ムビコレ調べ)
相良智弘(さがら・ともひろ)
日経BP社、カルチュア・コンビニエンス・クラブを経て、1997年の創刊時より「日経エンタテインメント!」の映画担当に。2010年からフリー。
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