『ふゆの獣』『おだやかな日常』『さまよう獣』を手がけた内田伸輝監督作で、2016年11月の東京フィルメックスで絶賛された須森隆文・櫻井亜衣主演の『ぼくらの亡命』が、6月24日よりユーロスペースにて公開されることが決定し、予告編、ポスタービジュアル、場面写真が解禁となった。
・[動画]解禁となった内田伸輝監督新作『ぼくらの亡命』予告編
本作は、2010年『ふゆの獣』以来7年ぶりとなる内田監督の完全自主制作映画。構想3年・撮影1年・仕上1年をかけ、スタッフ3人と、オーディションで選ばれた主演2人を中心とした作品で、引きこもりのホームレス・昇(ノボル)に長い手足と特異な風貌の須森隆文、美人局の片棒をかつがされている樹冬(キフユ)に眼で語る櫻井亜衣が扮する。
東京近郊の森でテント暮らしをする昇は、気に入らない人々への恨みを半紙に筆書し、テントに貼りつける日々を送っている。樹冬と重久らの修羅場を偶然目撃した昇は、樹冬に興味を持ち、彼女の後をつけまわす。重久は樹冬を使って美人局をしていた。騙されている!と思った昇は、樹冬を助けようと誘拐を計画し、身代金を重久に要求するが「バーカ、勝手に殺せ」と重久に一蹴され失敗。捨てられまいと、樹冬は重久に擦りよるが、重久はすでに別の女に美人局をやらせていた。用済みにされた樹冬は重久をナイフで刺した。それを目撃した昇は、樹冬の後を追い「重久は死んだ」と嘘をつき、一緒に日本から脱出しようと持ちかける、というストーリー。内田が撮り続けてきた「他者への依存」というテーマを掘り下げた作品だ。
本作について内田監督は、「『14歳の少女と20歳の男が美人局(つつもたせ)で逮捕──。』この作品の発想は、ネットニュースで見たこんな記事からだった。やりくちは変われど、昔からある古典的な手口。カモとなった男と騙した女が手を組んだらどうなるのだろう? そこから恋愛が生まれるのだろうか? そんな所を探りつつ、物語を作り始めた。と同時に撮影に入る2015年は、太平洋戦争終戦から70年目にあたり、聞こえないくらいの足音で確実に近づいてくる気がする新たな戦争の空気を、描いてみたいと思った。戦争とは何かを考えた時、それに至る理由の一つに、領土、領海、領空の奪い合いが戦いの引き金になっていて、まるでそれは、『この島は我が国のものだ!』と主張する国が、『この女は俺のものだ!』と一人の女性をめぐり奪い合う男達の姿にも僕は思えた。恋愛、戦争、奪い合い…。『ぼくらの亡命』は恋愛映画の皮を被った戦争映画にしようと思い、撮影が始まった」とのコメントを寄せている。
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