Variety誌が「貧困にあえぐ日本の性差別を、痛烈に告発する」と激賞
花瀬琴音を主演に迎え、若くして母親となった少女が貧困や暴力に抗おうとする日々を描いた映画『遠いところ』。本作より、少女が直面する苛酷な現実をとらえた場面写真を紹介する。
・日本の性差別を痛烈に告発する現代悲劇『すずめの戸締り』千果役・花瀬琴音が初主演!
本作は、沖縄のコザを舞台に、幼い息子と夫との3人暮らしをする17歳のアオイ(花瀬)が、社会の過酷な現実に直面する物語。第56回カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭クリスタル・グローブ・コンペティション部門に出品され、Variety誌に「貧困にあえぐ日本の性差別を、痛烈に告発する。溝口健二的な現代悲劇」と激賞された。
主人公アオイを演じるのは、昨年『すずめの戸締り』に出演して話題を呼び、本作が映画初主演となる花瀬琴音。東京出身の彼女が、撮影の1ヶ月前から現地で生活し、“沖縄で生まれ育った若者”アオイを体現する。
・[動画]沖縄が抱える問題、若年出産…主題歌は唾奇が歌う「Thanks」/映画『遠いところ』予告編
アオイの友人・海音には映画初出演となる石田夢実、夫のマサヤには『衝動』(21年)の佐久間祥朗。花瀬と同様、2人も撮影1ヶ月前から現地入りし、沖縄・コザで実際に体感した生活感溢れるリアルな演技を披露している。
監督は、長編デビュー作『アイムクレイジー』(19年)で、第22回富川国際ファンタスティック映画祭NETPAC賞(最優秀アジア映画賞)に輝いた工藤将亮。長編3作目となる本作では、4年に渡り沖縄で取材を重ねて脚本を執筆、全編沖縄での撮影を敢行した。
紹介する場面写真は、目を背けたくなるような現実に直面しながらも、必死に生きようとする17歳の少女の姿を鮮烈にとらえたもの。
最初の1枚は、幼い息子・健吾を抱き上げたアオイをとらえている。生活費を稼ぐために夜の仕事を終えた彼女は、おばぁ(吉田妙子)に預けた子を迎えて自宅に戻り、仕事もせずに飲んだくれる夫のマサヤ(久間祥朗)を切実に見つめる。彼女の瞳にはやるせない痛みが宿っている。
沖縄では、10代の若さで水商売をする女性たちが少なくない。キャバクラで働くアオイにとって、同じ仕事をしている海音(石田)は、日頃の悩みを打ち明けられるただひとりの親友だ。うつむき加減のアオイと、彼女を見つめる海音の姿が切ない。
誰よりも大切な息子を抱くアオイはデイパックにTシャツを着ている。その姿は17歳の少女そのもの。そして、家計を支えるためにキャバクラで働くアオイが、仕事仲間から警察のガサ入れだと囁かれる場面へと続く。
生活の糧である仕事を失ってしまったアオイは、酒浸りの夫を頼ることすらできずに追い込まれていく。ついには荒んだ彼女の生活を見かねた保護観察官が息子を保護。泣きながら健吾の姿を追っているアオイの姿に胸が締めつけられるカットも初解禁された。
『遠いところ』は6月9日より沖縄先行公開、7月7日より全国順次公開。
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