【映画作りの舞台裏】『キンプリ』西浩子Pに聞く/前編
公開館数14館から全国130館以上に!
スマッシュヒットした『キンプリ』とは?
「上映中は私語を慎んで静かに鑑賞しましょう」、そんな映画館の常識が覆る事象が起きている。通常の上映とは違い、声援、コスプレ、ペンライトの使用などが許可された応援上映だ。観客はペンライトを手にキャラクターたちに声援を送り、さながらアイドルのライブ会場のような光景が広がる。3Dや4Dといった映画鑑賞に付加価値をつけた上映形態は他にもあるが、それらは受け身で当然ながら映画を観ているだけに変わりはない。しかしながら、応援上映は参加型だ。ペンライトを振って声を出して、ときにはキャラクターのセリフに合いの手を入れたりもして、能動的に楽しめるのだ。しかも、通常上映と同じ料金設定というのも嬉しい。
・男同士のキスシーンも刺激的! エロティシズムあふれる描写にドキドキ
この、他ではなかなか味わえない楽しさの虜となる観客は多く、動員数のアップにつながり、映画館では応援上映や発声上映などと銘打ったイベント上映がブームとなりつつある。
この応援上映ブームの火付け役と言えるのが、『KING OF PRISM by PrettyRhythm』、通称『キンプリ』だ。女児向けのアーケードゲーム「プリティーリズム」に端を発したTVアニメ『プリティーリズム』シリーズのスピンオフとなる劇場版で、男の子のキャラクターが活躍し、大人のアニメファンを魅了した。アイドルとフィギュアスケート選手を合体させたような“プリズムスタァ”を目指す男の子たちがライバルや仲間と切磋琢磨する姿をエンターテイメント性たっぷりに描いたアニメ作品だ。
そんな時代の波を作り出した『キンプリ』の西浩子プロデューサーに、作品の誕生秘話と作品の魅力、応援上映ブームの生まれる瞬間などなど、熱く語ってもらった。
まずは女児向けである『プリティーリズム』シリーズから男の子のキャラクターが活躍する、大人の女性をターゲットにした劇場版アニメの『キンプリ』がなぜ制作されたのか、経緯を聞いていきたい。西プロデューサーがアシスタントとして携わったのは『プリティーリズム』シリーズの第2期からだという。
「もともと、私自身がいわゆる大人向けのアニメが好きだったので、女の子向けの作品に配置が決まった時は少し戸惑いました」。
しかし、仕事として携わることになって『プリティーリズム』シリーズを見ることで、その意識が変わっていったのだ。
「話が面白くて学ぶことも多く、一人一人のキャラクターが生きているんです。きれいごとだけじゃなく、生きる辛さもしっかり描かれていることに感銘を受けました」。
菱田正和監督が手がけ、子ども向けだからと“子ども騙し”なものにはせず、大人になってから思い出して役に立つ作品にしたい、という思いが込められていた。
「ただ、TVシリーズは朝の時間帯に放送する女児向けアニメだから、大人のアニメファンはあまり見ないし、知名度もそれほど高くありません。なので、もっと多くの人に見てもらいたいとつねづね思っていました。男の子のキャラクターをメインにしたのは、『プリティーリズム』シリーズが終わって、その後に『プリパラ』という女児向けのシリーズが始まったからです。同じ女児をターゲットにしたものではなく、大人のアニメファンに向けたものを作ろうということになりました。これで、『プリティーリズム』シリーズの魅力を大人の方にも知ってもらえると思いました」と西プロデューサーは言う。(文:入江奈々/ライター)
(中編「生アフレコって何だ!?『キンプリ』が仕掛けて大流行!」に続く…)
『KING OF PRISM -PRIDE the HERO-』は6月10日より全国公開される。
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