(…前編「壁ドンや彼シャツもないけれど…。初心者にオススメの癒し系BL!」より続く)
【元ネタ比較】『ひだまりが聴こえる』中編
ラブじゃなく友情でいいんじゃない?という意見もあるが…
文乃ゆき原作によるBL漫画「ひだまりが聴こえる」が実写映画化された。耳が不自由で殻に閉じこもりがちな航平と、元気で明るい太一の心の交流を繊細に描いている。
恋愛要素は薄くて、おそらく少女漫画ならこんな恋愛未満な状態だと許されずに成立しないだろう。それに、BLである必要があるのか? この2人が男女だとどうだろう?とも思う。
だけど、男女だと引っ付くのは目に見えてるし、途端に爽やかさが欠けて不思議と萎えてしまう。やっぱりこれはBLだからいい! 敢えて言い切ろうじゃないか! じゃあ、ラブじゃなくても友情でいいんじゃない?という意見もあるだろう。しかし、内気な航平にとって太一はかけがえのない存在となって、いつしか自然と心に入り込んでいくのがこちらに伝わってくる。
航平は耳が不自由で人付き合いが苦手で、いつも回りから一歩引いている。実写化では航平が聴いているノイズを入れた聴き取り辛い音が効果的に使われていて、彼が疎外感を常に感じているのがよくわかる。でも、素直で純真な太一は心の垣根をポンと飛び越えてくる。
太一はほんとにいい子だ。耳が不自由だけどまったく聴こえないわけではなくて手話はわからないという航平をよく理解しようとするし、障害があることをドラマチックに美化しようする女子に憤慨したりもする。
それでいて、ただまっすぐでポジティブというだけじゃない。航平からお弁当をもらって無邪気に喜ぶ太一は実は苦学生で、家庭の事情で祖父と2人暮らししている陰の部分も持っている。
初っ端から内気な難聴の男の子と家庭の事情がある苦学生という2人とも陰の部分を持つ者同士として描かれたなら惹かれ合うことが当然過ぎて面白みに欠けるが、正反対に見える2人が出会うように描かれるのがニクい。
(後編「“受け”の理想型! かわいいけど男の子っぽい太一に萌える」に続く…)
『ひだまりが聴こえる』は6月24日より全国公開される。
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