【映画を聴く】『すばらしき映画音楽たち』前編
映画と音楽の関係を浮き彫りにした“通史”
『すばらしき映画音楽たち』は、ハリウッド大作を中心とした新旧の有名映画の音楽制作にスポットを当てたドキュメンタリーで、映画好き&音楽好きなら無条件にグッとくるエピソードが満載だ。
・[動画]果てしない映画愛に満ちた音楽ドキュメンタリー映画『すばらしき映画音楽たち』予告編
なんせ取り上げられている作品は、誰もが一度が見たことのあるような超メジャー級ばかり。『E.T.』『ロッキー』『スター・ウォーズ』『タイタニック』『ジュラシック・パーク』『スーパーマン』『JAWS/ジョーズ』『キング・コング』『猿の惑星』『パイレーツ・オブ・カリビアン』『サイコ』『卒業』『007』『ピンク・パンサー』『ショーシャンクの空に』『バットマン』『荒野の七人』『マッドマックス 怒りのデス・ロード』などなど。出てくる作品を全部書き連ねることが、もしかしたらこのドキュメンタリーの魅力を伝える一番の方法かも、と思ったりもする。
『E.T.』の仮編集のテープを回しながら、ピアノの横に立つスティーヴン・スピルバーグ監督。ピアノには、かの有名な作曲家、ジョン・ウィリアムズが座っている。やがてフィルムはこの映画のクライマックスである、BMXが空へ駆け上がるシーンを映し出す。そこでウィリアムズは、まるで鼻唄でも歌うような軽やかさで、唐突に“あのメロディー”を弾き始める。
本作には、このくだりをはじめとする50作以上の名作やヒット作と、その音楽を手がけた作曲家が次々と登場し、驚くべきエピソードを惜しげもなく披露する。
実際、これほど多くの映画、しかも音楽に特化したドキュメンタリーはこれまでになかったと言っていい。切っても切れない映画と音楽の関係を浮き彫りにした“通史”として、かけがえのない価値を持つ作品である。
(後編「なぜ、何度見ても『スター・ウォーズ』のオープニングは心が高ぶるのか? 音楽から解き明かすその理由」に続く…)
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