【ついついママ目線】『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』前編
一匹の猫がホームレス青年の全てを変えた!
薬物依存症でホームレスの青年が、一匹の猫と出会ってたちまち人気者に。猫との出会いを綴った本がベストセラーとなった彼はマイホームも購入できるほどに成功した!
・野良猫との奇蹟の出会いが映画に! どん底から再起した原作者を直撃
そんな奇跡の実話をもとにした『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』。ただ、本作は富と名声を得るサクセスストーリーではなく、ひとりの青年が人生を取り戻すさまを丁寧に描いた心温まるヒューマンドラマだ。
主人公のジェームズは映画の始まりからしてすでにホームレスだ。ストリートミュージシャンとしてロンドンの街角で歌っているが、実入りは乏しくゴミ箱を漁り、薬物依存症で更生中にもかかわらず仲間に誘われると誘惑に負けるありさま。ジェームズがどんな生い立ちでどうしてこのようなドン底生活を送っているのか、劇中で多くは語られない。
ジェームズの家族関係を窺い知ることができるのは、主に父親とのシーンだ。街中でジェームズを見かけた父親は視線をそらし、気づかれぬうちに立ち去ろうとする。ジェームズが声をかけても、再婚した妻に遠慮して消極的な態度だ。それでも、ジェームズは突っかかったりはせず、いじらしく父親と交流を持とうとするが、父親は歓迎しようとはしない。
父親の立場もわかることはわかる。新しい家族と今の生活は大切だし、ジェームズが薬物依存に陥ったのは自業自得なのだろうし。とは言っても、もう少しなんとかならないかと思う。後半にジェームズが父親を訪ねた際に父親が今までのことをフォローする良いシーンがあるが、筆者はもっと早く言ってよ! 遅いよ!と思ってしまった。
家族の代わりにジェームズを支えるのは縁あって出会った者たちだ。更生プログラムの担当女性のヴァルは仕事として責任を持って厳しく意見しながら、ジェームズに住居を用意し、誠実に対応する。ジェームズと彼女との間に恋愛が生まれないことは好感が持てたし、作品の質をおとしめないことに貢献していると思う。
ジェームズの恋愛相手であるヒロインとなるのは近所に住むベティ。ビーガン(完全ベジタリアン)で、辛い過去のためにドラッグを毛嫌いしていて強い意思を持ち、ジェームズの気持ちを前向きにする女性だ。
『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』は8月26日より全国公開される。
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